Perfect Blue外传短篇小说《into the blue》(10)
「アキラには私がこう見えるの?」
鏡でも見たことがないような自分の顔。予想外にも彼が言ったように生き生きとしていて、やや尖らせた口が今にも何か言いたげだ。
普段はこんな顔していないと思うのに。
「うん、勝ち気でたまに子供っぽいところもあって可愛いのは昔から変わらない」
「アキラのそういうところ嫌い」
「ええっ、なんかごめん!?」
子供っぽいのはそっちのくせに、昔からアキラはこうだ。私のことを子供扱いする。
中学生は確かに子供なんだけど、同い年にまで子供扱いされるなんて癪。
でも、嫌いと言われると慌てて機嫌を伺ってくるところはなんだか憎めなくて笑えてくるのだ。
「ふふっ、いーよ。負けず嫌いなのは事実だし。あぁ、写真は勝ち負けがなくていいよね、始めてみようかな」
「じゃあほら、なにか撮ってみてよ。俺のカメラ貸すから」
手渡されたカメラの意外な重みに少しばかりの困惑を覚える。何より彼が、命よりも大切だといつも言っているその相棒を自分にいとも簡単に預けたことに驚いていた。
「なにかって言われても……ボタンいっぱいあってどうしたらいいかわからない」
「何でもいいよ、美羽が好きなものを撮ってみて」
促されるまま、私は適当にシャッターを切る。
——道端の花、青々しい木の葉、目の前にいる幼馴染。