Perfect Blue外传短篇小说《into the blue》(11)
「そりゃそうだよ。撮る人によって同じ景色でも全然違うものになる。それが写真の面白いところなんだから」
私の写真が撮しているのは、ピンぼけこそしていないものの単調で、とてもつまらなくて。唯々あるがままの風景が収まっているだけものだ。
「……カメラもさ、やっぱりコンテストとかあるから優劣をつけられることはあるよ。でも俺は、誰がなんと言おうと自分の写真が一番好きなんだ」
「私は自分の写真より、アキラの写真のほうが好き」
「美羽はまだ全然写真撮り慣れてないからね。ずっとやってればそのうち自分の良さにも気づくよ」
「そういうものなのかなぁ」
ボタンを押して、半ば作業のように自分の撮った写真を送っていく。そうして最後、一枚の写真で指が止まった。
「この空はよく撮れてるなぁ、美羽って感じがする」
「また適当なことを」
「酷いなぁ、思ったことを言っただけなのに」
小さな鳥が青空に向かって羽ばたいていた。ちゃんとカメラに収まったのはただのまぐれだったけれど、確かに我ながらよく撮れたなと、思う。なにが私っぽいのかはよくわからない。
「あ、次の写真俺!?もー撮るなら撮るって言ってよー」
「さっき私のことも無断で撮ったでしょ。お返し」
「俺こんな顔してた?」
「さぁ、してたからそう写ってるんじゃない」
穏やかで楽しげな表情。
まっすぐで影のない眼差し。
「俺は美羽の写真、面白くて好きだ」
「……そうかなぁ」