『试译』《里亚徳录大地5》-序章(6)

二つのパーティは隊商を安全に逃がすために下がり、 一つのパーティは森を抜けてくる脅威に対して力を振るう 挟撃もあり得るので後方にも戦力は必要た。
事前に決められていたローテーションだが、そのパーティのリーダーはタイミングの悪さに溜息を吐く。
「すまん、みんな……」
「つたく、リーダーのせいじゃないでしょー。 これはみんなの総意なんだから」
「そーそー。 ツマンネ工こと気にしてねーで、さっさと片付けちまおうぜ」
「おっちゃんがいないのは歯抜けだけど、それでも僕らのやることに変わりはない」
緊迫した状況の中、仲間たちからの軽すぎる激励にリーダーも苦笑を浮かべる。
森の中を暴虐に突き進むモノの気配が濃厚になったところで、冒険者たちは勇気を奮い立たせた。気合いや咆哮によって心を切り替えたのた。
ここから先は通さないという気概を持って敵に相対する。見えない敵に対して気負いすぎかもしれないが、対応としては冒険者の鑑ともいえる行為である。

……ただ、相手が悪すぎなければ、の話だ。
森を割り、木々をへし折って姿を現した敵の姿は、冒険者たちが想定した獣よりも巨体だったのである。
頭は彼らの頭上より更に上にあって、巨木とも錯覚するほどの脚部か二本、体を支えていた。 その身はなめらかでいながら硬質そうな竜人族の皮膚に似た鱗のような物で覆われている。
体のバランスを取る尾は大人の体数人分ほどもある太さで、頭部にある鋭い牙の噛み合わさった顎からは、人の手が力なくぶら下かっていた。
縦に割れた瞳孔がスウッと縮められて、眼下の矮小なる者共を睥睨する。
それだけで冒険者たちの決意は総崩れになっていた。 ある者は武器を取り落とし、ある 者は呆けた表情で腰を抜かす。 想定外も想定外、さらにその外の化け物の姿に彼らは完全に飲まれていた。
それはなんとか荷物を纏めてそこから逃げ出そうとしていた隊商の面々も同じこと。