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徳政じゃ(2)

2023-09-16 来源:百合文库
「この大きな包は、なんでござりましょう。ほほう、りっぱな反物(たんもの→着物のきじ)がこんなにもドッサリ。むすめや女房(にょうぼう)に買うてやりたいとぞんじますが、ちょいと、はいしゃく」
と、いうぐあいに、客の持ちものを、次から次と借りていきました。
客たちは亭主(ていしゅ)のたくらみなどは、ゆめにも知りませんので、
「お役にたてば、お安いこと」
「さあさあ、どうぞ」
と、気楽に何でも貸してくれました。
こうして、どの部屋からも目ぼしいものをかりまわったおかげで、主人のヘやには、客の品が山のようにたまりました。

徳政じゃ


さて、二、三日すると、おもったとおり、おかみのおふれが出ました。
役人がほら貝をふきたて、かねをうちならして、
「徳政じゃあー。徳政じゃ」
と、町をわめき歩きます。
町のあちこちに、徳政の立礼(たてふだ)がたちました。
そこで宿の亭主(ていしゅ)は、してやったりと、広間に客を集めてこういいました。
「さてさて、こまったことになりもうした。この徳政ともうすは、かたじけなくも、上さまからのおふれでございます。このおふれのおもむきは、天下の貸しかりをなくし、銭・金・品物などによらず、かりたものはみな、かり主にくだされます。さようなわけで、みなさまからおかりした品じなは、ただいまから、わたくしのものになったわけでございます」

徳政じゃ


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