過去も、未来も分からない僕に。【にじさんじ/叶】20190707生贺原创曲小作文
抜け目なく現在を収めよ、それは汝だ。
影の様な末来に向かって進め、怖れずに雄タしい勇気を持って。
-「ハイペリオン」
「『たった七年』。
「たった七年」と、彼女はそう言ったんだ。」
青年は言った。
窓の外。暗闇の中にちらほらと灯る明かり、頬杖をつきながら眺めていた僕は、そこで彼に漸く視線を戻した。
彼の前に置かれた、カップに注がれたコ一ヒ一はすっかり冷め、そして彼がそれに気付いていない事から、僕は彼が珍しく熱弁しているのだな、と思った。
「福音書を持ち、彼に『ラザロの復活』の章を読んだ…まあ、正しくは『読まされた』なんだけど。
彼に自白を勧める程の敬虔さを持つ彼女が、その彼女が、だ。
彼の流刑地での服役を『たった七年』と言った事に、俺は凄い違和感を感じたんだ。」
そこで彼は僕が無言でカップを眺めている事に気付き、あぁ、と言ってカップに手をかける。
口元に運び、音を立てず、ゆっくりと一口飲んだ後に微妙な表情をする。
「…冷たい。」
「そりゃそうでしょ、あれだけ熱弁してたら。」
貴方は完璧ではない。
貴方は完全ではない。
何故なら貴方は貴方なのだから■
「夢?」
僕は聞き返すと、彼女は小さく頷いた。
普段の明るい性格を知っている所為か、今の彼女は、何だかとても悲しそうに見えろる。「ウチな、夢、見てん。『花になってる夢』」
もう一-度、彼女はそう言うと、小さくふっと笑った。
シャ一ベンを膝の上辺りで両手でいじる、「ほんでな」 そう言って彼女は続ける。
「最初はむっちゃ楽しいねん。『風邪だ一 ! 』 『太陽だ一 ! 』 って。虫はキショいけど。
で、花のウチは、夜が来ると眠なって目を閉じろんよ。」
「ほんでウチは目を覚ます。」そう言うと彼女は作った様な笑顔で僕に笑ってみせた。
すぐに表情は暗くなり、彼女はまたすぐに俯いてしまった。
「そんなんがずっと続いててな、途中で思うんよ。
『ホンマは今が夢で、夢の中の花が現実なんとちゃうかな』って。」
「··…『胡蝶の夢』。」
僕がそう呟くと、彼女はバッと顔を上げた。
「こちょうの…何て?」
「『胡蝶の夢』、だよ。中国の思想家、荘子の説話。」
貴方は完璧ではない。
貴方は完全ではない。
何故なら貴方は貴方なのだから。
主が其れを是とするのならば、
私は私を賭して否と叫ぼう。
貴方は完璧
「『カニバりズムとは、最も明確な優しさの表現の一つである。』