Perfect Blue外传短篇小说《into the blue》(15)
「美羽はデザインドでしょう?それをネイチャーだなんて、おかしいもの」
あの日よりも少し肌寒く感じるのに、同じ青が広がる空は変わらない。誰もいない公園で自販機を認めて、私は二人分の飲み物を購入した。
「あらありがとう、いくらだった?」
「いいよこれくらい」
言ってサイダーに口を付ける。冷たい。本当はホットココアが飲みたかったのに、ボタンを押して出てきたのはサイダーだった。朱音にはホットのミルクティーをと思ったがこれも売り切れていた。仕方なく冷たいミルクティーを選ぶ。そういえばあの日も彼女はこれを飲んでいただろうか。
「じゃあありがたく頂くわね。——甘くておいしい」
しばらく無言で飲んでいた。そしておもむろに彼女は私の手を引き、展望公園の所以たる展望台へと導く。その景色は初めて空を飛んだときと変わらない鮮やかさで。そんな空と街を眺めながら彼女はさらさらと語り始めた。
「私は霜月の一人娘で跡取りでそして最も優秀な遺伝子を持ったデザインド。優秀なのは当たり前で、だからみんなも優しくて仲良くしてくれる。ずっとそうだった」
夕暮れの教室で聞いた、彼女の胸の内。あの時も、今も、彼女は何でもないようにそれを語る。でも今の彼女はさらに他人事のような語り口だ。あるいは遠い過去の話のような。
「でもね、美羽は違った。美羽は家のこととか関係なく私自身を見てくれた。霜月の娘になんか興味ない、私と話してるんだって。それが嬉しくて……気づけば特別になっていた」