第25话 插曲:噩梦和膝枕(17)
彼の苦しみが、少しでも和らぐことを願いながら。
紫条院さんの声が聞こえる。
紫条院さんの温もりを感じる。
ああ、彼女がここの外にいるのならもう答えは明白だ。
これは絶対に現実じゃない。
「はあ、ビビって損した……なんだ単なる悪夢かよ」
さっきまでの感情が死んでいくような気分はあっさり霧散し、俺はこんな見え見えの悪夢で取り乱した自分を恥じた。
というか夢だと認識して冷静に見てみると穴だらけだ。
なんかこの会社の風景も俺の記憶が曖昧な部分はぼやけてるし。
「おい、新浜てめえ何をブツブツと……」
「課長のディティールだけは正確だな。それだけトラウマだったってことか」
さて、こんな悪夢からはとっとと覚めるのが一番だが――その前に。
「おいこら聞いてんのかグズが! お前の成長のために俺の分もやらせてやるからさっさと仕事をしろ! ちょっとでもサボったらまた給与を下げてや――」
「やかましいわボケがああああああ!!」
ギャーギャーとわめき出した課長を正面から怒鳴りつけてやると、根性が曲がった顔をした50代男は目を見開いて絶句した。
せっかくだし前世でこいつに言いたかったことを全部言っておこう。
「このブクブク太りのクソ課長がっ! タバコの吸い過ぎで口がヤニ臭えんだよ! 他人のことばっかりネチネチ言うのに自分一人じゃ何も出来ない無能の権化のくせに、いつも人に理不尽な命令ばっかしやがって! 偉そうなことを言うならてめえが100連勤してみろや!」
紫条院さんの声が聞こえる。
紫条院さんの温もりを感じる。
ああ、彼女がここの外にいるのならもう答えは明白だ。
これは絶対に現実じゃない。
「はあ、ビビって損した……なんだ単なる悪夢かよ」
さっきまでの感情が死んでいくような気分はあっさり霧散し、俺はこんな見え見えの悪夢で取り乱した自分を恥じた。
というか夢だと認識して冷静に見てみると穴だらけだ。
なんかこの会社の風景も俺の記憶が曖昧な部分はぼやけてるし。
「おい、新浜てめえ何をブツブツと……」
「課長のディティールだけは正確だな。それだけトラウマだったってことか」
さて、こんな悪夢からはとっとと覚めるのが一番だが――その前に。
「おいこら聞いてんのかグズが! お前の成長のために俺の分もやらせてやるからさっさと仕事をしろ! ちょっとでもサボったらまた給与を下げてや――」
「やかましいわボケがああああああ!!」
ギャーギャーとわめき出した課長を正面から怒鳴りつけてやると、根性が曲がった顔をした50代男は目を見開いて絶句した。
せっかくだし前世でこいつに言いたかったことを全部言っておこう。
「このブクブク太りのクソ課長がっ! タバコの吸い過ぎで口がヤニ臭えんだよ! 他人のことばっかりネチネチ言うのに自分一人じゃ何も出来ない無能の権化のくせに、いつも人に理不尽な命令ばっかしやがって! 偉そうなことを言うならてめえが100連勤してみろや!」