第25话 插曲:噩梦和膝枕(16)
「それに新浜君もなんだか風見原さんや筆橋さんに対しては気安いような……」
風見原さんには「俺を矢面に立たせすぎだろお前!?」とかで、筆橋さんには「ああもう、泣きそうな声出すなって! なんとかするから!」みたいな感じなのに私には「俺で良ければいつでも力になるよ」というふうに紳士的すぎるのだ。
「私にももっと気さくな感じでも構わないんですけど……え?」
ふと新浜君の顔を見ると、汗がびっしりと浮かんでいた。
それだけじゃない。
口から苦悶の声を漏らしている。
「に、新浜君!? どうしたんです?」
「う、あ、ああ……あああ……」
苦悶の表情を見て、すぐに悪い夢を見ているのだとわかった。
それも相当に酷い夢のようだ。
「…………っ」
私は咄嗟に、そっと彼の頬に触れた。
後で冷静に考えれば新浜君をすぐに起こせば良かったのだろうけれど、この時の私はこうすることしか頭になかった。
幼い頃、嫌なことがあった時にお母様がいつもそうしてくれたように、彼に私の体温を通じて人の温かさを届けたかった。
新浜君が見るべきなのは悪夢なんかじゃない。
こんなにも色んな事を頑張って一生懸命な人は、たとえ夢でも不幸になるべきじゃない。
「新浜君が見るべきなのは……幸せな夢なんです!」
少しでも体温を伝える面積を増やすべく、私は両の手の平で新浜君の頬を包み込んだ。
風見原さんには「俺を矢面に立たせすぎだろお前!?」とかで、筆橋さんには「ああもう、泣きそうな声出すなって! なんとかするから!」みたいな感じなのに私には「俺で良ければいつでも力になるよ」というふうに紳士的すぎるのだ。
「私にももっと気さくな感じでも構わないんですけど……え?」
ふと新浜君の顔を見ると、汗がびっしりと浮かんでいた。
それだけじゃない。
口から苦悶の声を漏らしている。
「に、新浜君!? どうしたんです?」
「う、あ、ああ……あああ……」
苦悶の表情を見て、すぐに悪い夢を見ているのだとわかった。
それも相当に酷い夢のようだ。
「…………っ」
私は咄嗟に、そっと彼の頬に触れた。
後で冷静に考えれば新浜君をすぐに起こせば良かったのだろうけれど、この時の私はこうすることしか頭になかった。
幼い頃、嫌なことがあった時にお母様がいつもそうしてくれたように、彼に私の体温を通じて人の温かさを届けたかった。
新浜君が見るべきなのは悪夢なんかじゃない。
こんなにも色んな事を頑張って一生懸命な人は、たとえ夢でも不幸になるべきじゃない。
「新浜君が見るべきなのは……幸せな夢なんです!」
少しでも体温を伝える面積を増やすべく、私は両の手の平で新浜君の頬を包み込んだ。