第25话 插曲:噩梦和膝枕(14)
思考能力が薄れ、心が希望を信じられなくなっていく。
そうなの……か?
俺は今まで……俺が渇望した願望を夢に見ていただけなのか?
(俺が見ていたのは何もかも……ただの都合のいい幻……)
真っ黒なコールタールのような絶望が、俺の中に広がっていく。
心から熱が失せて凍りつく。
胸の奥ががらんどうになり、全てが空虚になる。
そうして俺の中から一切の希望が消えかけたその時――
頬に、暖かい何かが触れた。
「え……?」
途方もない温かい何かは、凍った俺の心をじわりと溶かした。
同時に真っ黒な絶望も太陽に照らされた影のように消え失せていく。
「これは……」
その温もりを、俺は知っている。
いつも俺を奮い立たせるもの。俺が心を動かす一番の原動力。
俺にとって、何よりも大切なもの。
俺の心に光と熱をくれるのは、いつだって彼女なのだ。
「紫条院さん……!」
ついさきほどまでの絶望なんてなかったかのような晴れ晴れとした気持ちで、俺はその名前を口にした。
私は紫条院春華。
今私は、二人っきりの教室ですやすやと眠る新浜君を見守っていた。
後夜祭が終わった後、お菓子のゴミなど片付けをしていると新浜君がいつのか間にタコ焼き喫茶用に作った客席に座って眠りに落ちていた。
もちろん起こさないといけなかったけれど、今日の重労働からくる疲労を知っている私は他の皆が帰宅する中、教室のカギを風見原さんから預かって、眠る新浜君と一緒に教室に残った。
そうなの……か?
俺は今まで……俺が渇望した願望を夢に見ていただけなのか?
(俺が見ていたのは何もかも……ただの都合のいい幻……)
真っ黒なコールタールのような絶望が、俺の中に広がっていく。
心から熱が失せて凍りつく。
胸の奥ががらんどうになり、全てが空虚になる。
そうして俺の中から一切の希望が消えかけたその時――
頬に、暖かい何かが触れた。
「え……?」
途方もない温かい何かは、凍った俺の心をじわりと溶かした。
同時に真っ黒な絶望も太陽に照らされた影のように消え失せていく。
「これは……」
その温もりを、俺は知っている。
いつも俺を奮い立たせるもの。俺が心を動かす一番の原動力。
俺にとって、何よりも大切なもの。
俺の心に光と熱をくれるのは、いつだって彼女なのだ。
「紫条院さん……!」
ついさきほどまでの絶望なんてなかったかのような晴れ晴れとした気持ちで、俺はその名前を口にした。
私は紫条院春華。
今私は、二人っきりの教室ですやすやと眠る新浜君を見守っていた。
後夜祭が終わった後、お菓子のゴミなど片付けをしていると新浜君がいつのか間にタコ焼き喫茶用に作った客席に座って眠りに落ちていた。
もちろん起こさないといけなかったけれど、今日の重労働からくる疲労を知っている私は他の皆が帰宅する中、教室のカギを風見原さんから預かって、眠る新浜君と一緒に教室に残った。