YOASOBI-海のまにまに的原著小说《ユーレイ》第一部分(5)
2024-04-11 来源:百合文库
窓を通じて車内に入り込む昼下がりの陽射(ひざ)しが、やがて、夕陽(ゆうひ)のオレンジ色に染(そ)まり、そこからだんだんと夜の世界に吸い込まれるように消えていく。
その最後の光を、私は惜(お)しむような気持ちで、目で追いかけた。
昼間の光見るのは、おそらく、これが最後になるだろうから。
もう二度と、私はこの明るい世界に帰ってこない。
住み慣れたあの町に再び戻ることは、たぶん、二度とない。
電車から漏(も)れる窓の黄色い明かりが、密度の高い夜の世界をゆっくりと優しく切り裂(さ)く。
自分に二度と朝がこないことを想像する。
寂し気もするし、同時にすごく安らいだ、ほっとした気持ちにもなる。
私はもう、帰らなくていい。
朝の世界に、私の日常に、あの中学の、自分の居場所なんてない音楽室に。
夜になり、乗客の姿がまばら(疎)になった電車の中で、私は唇をきゅっと噛み締める。
もうやるって決めた。ずっとずっと考えてきて、ようやく今日、電車に乗った。もう二度と戻らない。
今日全部を終わりにすることと、明日もまた学校に行くことを考えたら、想像もできないのは、明日も学校に行くことの方だった。
電車が、どこかの駅に着く。
これまで一度も降りたことがなく、初めて聞く駅名だった。
誰も降りず、乗ってこない。
寂しホームに等間隔(とうかんかく)に並んだ照明の光がきれいだった。
夜の空気はとても澄んでいて、昨日、自分の町で過ごしていた夜とは、空気の色が全然違う。
誰の乗り降りもないまま、電車が発車する時の、車掌さんのホイッスルの音が聞こえた。
その音を聞き、季節が夏から秋に変わる時に特有の透明度の高い夜の空の空気を吸ったら、胸がぎゅうっとなった。
その最後の光を、私は惜(お)しむような気持ちで、目で追いかけた。
昼間の光見るのは、おそらく、これが最後になるだろうから。
もう二度と、私はこの明るい世界に帰ってこない。
住み慣れたあの町に再び戻ることは、たぶん、二度とない。
電車から漏(も)れる窓の黄色い明かりが、密度の高い夜の世界をゆっくりと優しく切り裂(さ)く。
自分に二度と朝がこないことを想像する。
寂し気もするし、同時にすごく安らいだ、ほっとした気持ちにもなる。
私はもう、帰らなくていい。
朝の世界に、私の日常に、あの中学の、自分の居場所なんてない音楽室に。
夜になり、乗客の姿がまばら(疎)になった電車の中で、私は唇をきゅっと噛み締める。
もうやるって決めた。ずっとずっと考えてきて、ようやく今日、電車に乗った。もう二度と戻らない。
今日全部を終わりにすることと、明日もまた学校に行くことを考えたら、想像もできないのは、明日も学校に行くことの方だった。
電車が、どこかの駅に着く。
これまで一度も降りたことがなく、初めて聞く駅名だった。
誰も降りず、乗ってこない。
寂しホームに等間隔(とうかんかく)に並んだ照明の光がきれいだった。
夜の空気はとても澄んでいて、昨日、自分の町で過ごしていた夜とは、空気の色が全然違う。
誰の乗り降りもないまま、電車が発車する時の、車掌さんのホイッスルの音が聞こえた。
その音を聞き、季節が夏から秋に変わる時に特有の透明度の高い夜の空の空気を吸ったら、胸がぎゅうっとなった。