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お姫さまとドラゴン(5)

2023-12-01 来源:百合文库
 あくる朝、目を覚ました二人が食堂へ行くと、おいしそうな朝食が用意されていました。
 朝食を食べ終えると、王さまは目に涙を浮かべて言いました。
「姫よ。わたしはもう帰らねばならない。かわいそうだが、お前はここに残っておくれ」
「はい、お父さま。心配なさらないでね」
 お姫さまは笑顔で王さまを見送りましたが、でも王さまが行ってしまうと、お姫さまは、わっと泣き出しました。
 これから先、自分がどうなるのかと思うと、怖くてたまらなかったのです。
 しばらくしてお姫さまは、また庭へ散歩に行きました。
 すると突然、あの恐ろしいドラゴンが目の前に現れたのです。
 お姫さまはまっ青になって、逃げだそうとしました。

お姫さまとドラゴン


 でもドラゴンが、とてもやさしい声で言ったのです。
「怖がらないでください。
 ぼくはあなたに、お嫁さんになってもらいたいと思っているのです。
 ぼくのお嫁さんになると、約束してください」
「いいえ、そんな事は出来ないわ」
 お姫さまは、こんな恐ろしいドラゴンのお嫁さんになる気はありません。
 けれどもドラゴンと一緒にお昼を食べたり、夕ご飯を食べたりしているうちに、だんだんとドラゴンの事が好きになってきました。
 それにドラゴンが、何度も何度も、
「お嫁さんになってください。幸せにしますから」
と、頼むので、心のやさしいお姫さまはつい、
「はい。お嫁さんになります」

お姫さまとドラゴン


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