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安珍清姫(6)

2023-10-28 来源:百合文库
「それならば」
 寺の人たちはつりがねをおろして、その中に安珍(あんちん)をかくまってくれました。
 安珍(あんちん)はそのつりがねの中に身をかくし、しずかにお経(きょう)をとなえつづけます。
 清姫(きよひめ)の大蛇(だいじゃ)は道成寺の石段(いしだん)をうねうねとのぼると、山門をくぐって安珍(あんちん)をさがしもとめました。

安珍清姫


 そうしてついに、大蛇(だいじゃ)は安珍(あんちん)の隠(かく)れるつりがねを見つけたのです。
「見つけたぞ、いとしい人。もうはなさない」
 大蛇(だいじゃ)はそのつりがねの上から体をグルグルとまきつけると、大きな口からまっ赤なほのおをはきつづけたのです。
 安珍(あんちん)は、まっ赤にそまるかねの中で、一心にお経(きょう)をとなえつづけます。

安珍清姫


 でも、ほのおでまっ赤になったかねの中で、とうとう安珍(あんちん)は、やけ死んでしまったのです。
おしまい


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