安珍清姫(6)
寺の人たちはつりがねをおろして、その中に安珍(あんちん)をかくまってくれました。
安珍(あんちん)はそのつりがねの中に身をかくし、しずかにお経(きょう)をとなえつづけます。
清姫(きよひめ)の大蛇(だいじゃ)は道成寺の石段(いしだん)をうねうねとのぼると、山門をくぐって安珍(あんちん)をさがしもとめました。
そうしてついに、大蛇(だいじゃ)は安珍(あんちん)の隠(かく)れるつりがねを見つけたのです。
「見つけたぞ、いとしい人。もうはなさない」
大蛇(だいじゃ)はそのつりがねの上から体をグルグルとまきつけると、大きな口からまっ赤なほのおをはきつづけたのです。
安珍(あんちん)は、まっ赤にそまるかねの中で、一心にお経(きょう)をとなえつづけます。
でも、ほのおでまっ赤になったかねの中で、とうとう安珍(あんちん)は、やけ死んでしまったのです。
おしまい