安珍清姫(5)
清姫(きよひめ)は安珍(あんちん)ののった船を追って、そのまま日高川の水の中へ飛び込(とびこ)みました。
そしていつのまにか、清姫(きよひめ)はおそろしい大蛇(だいじゃ)の姿(すがた)になって、川をわたっていったのです。
「にっくき、安珍(あんちん)め!」
船をおりると、安珍(あんちん)はむちゅうで走り出しました。
そしてそれを追う、大蛇(だいじゃ)。
街道(かいどう)のそばに、道成寺(どうじょうじ)というお寺がありました。
安珍(あんちん)は必死の思いで、このお寺に逃げ込(にげこ)むと、
「どうか、わたしをお助けください。追われております。どうか、この寺へおかくまいください」