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安珍清姫(3)

2023-10-28 来源:百合文库
 そこで安珍(あんちん)は清姫(きよひめ)と会わないために、帰り道は、来るときとはちがう道をいくことにしました。
 ところが清姫(きよひめ)は、そんな事とはつゆしらず、いまかいまかと安珍(あんちん)の帰りを待ちわびています。
「安珍(あんちん)さま。安珍(あんちん)さまは、どうなされたのじゃろう?」
 待ちきれなくなった清姫(きよひめ)は、家を飛び出すと、見知らぬ旅人に声をかけました。

安珍清姫


「あの、もし、熊野(くまの)もうでの若(わか)い旅のお坊(ぼう)さまに、お会いになりはしませんでしたか?」
「ああ、その方なら、たぶん別の道をいかれたと思うが」
「別の道を! あんなにかたい約束をしたのに、まさか。そんなはずが」
 清姫(きよひめ)は、夢中(むちゅう)でかいどうを走りだしました。

安珍清姫


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