安珍清姫(2)
しかし、修行中(しゅぎょうちゅう)のお坊(ぼう)さんが、女の人に心をうばわれるのはゆるされないことです。
でも安珍(あんちん)は、清姫(きよひめ)に、
「熊野(くまの)からの帰りには、かならずここによります。・・・あなたにあうために」
と、かたい約束をしてしまいました。
さて次の日、安珍(あんちん)はぶじに熊野大社(くまのたいしゃ)につきましたが、熊野(くまの)の僧侶(そうりょ)たちに安珍(あんちん)の心のまよいを見抜(みぬ)かれて、早くまよいからさめるようにと、教えさとされました。
「たしかに、わたしは修行中(しゅぎょうちゅう)の身、女に心をうばわれるなど」