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安珍清姫(4)

2023-10-28 来源:百合文库
 それはもう、くるったように走って走って、走りつづけます。
 そして日高川のわたし場まできたとき、やっと安珍(あんちん)のすがたを見つけることができました。
「安珍(あんちん)さまー。安珍(あんちん)さまー」
 走ってくる清姫(きよひめ)に気づいた安珍(あんちん)は、清姫(きよひめ)には二度と会ってはならないのだと、自分にそういいきかせ、

安珍清姫


「船頭(せんどう)さん、は、早く船を出してくだされ。は、早く!」
と、船頭をせきたてます。
「安珍(あんちん)さまーっ、安珍(あんちん)さま。なぜ、どうして、安珍(あんちん)さまー」
 清姫(きよひめ)は自分から逃(に)げていこうとする安珍(あんちん)におどろき悲しみ、やがて、そのおもいは、はげしい憎(にく)しみへとかわっていったのです。

安珍清姫


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