娘ギツネの恩返し(3)
2023-09-16 来源:百合文库
「息子さんの病気を、治してさしあげます。ですから、息子さんと二人だけにしてください」
そして娘は息子と二人で蔵の中に入ると、息子をキッとにらみつけて言いました。
「さあ、お前の正体はわかっているよ! いったい、どこのキツネがついているんだい!」
すると息子は、おどおどながら言いました。
「こっ、ここの庭にまつられている、稲荷です」
「ふーん。しかし、家にまつられている神が、なぜその家の人たちを苦しめるんだい」
「はっ、はい。実はこの家はケチで、供え物が少ないんです。それで頭にきて屋敷のニワトリを食ったら、家の人に煮え湯をかけられて殺されました。だから死神のキツネになって、息子に取りついて、死ぬまで苦しめてやる事にしたのです」
「そうかい。じゃあ、わたしが家の主人に言って、お供え物を増やしてもらうから、もう悪さをするんじゃないよ」
「はっ、はい。お願いします」
さっそく娘は屋敷の主人にこの話をして、お供え物を増やしてもらいました。
するととたんに、息子は元のやさしい若者に戻ったのです。
「おおっ、息子が元に戻った。ありがとう。本当にありがとう」
主人はとても喜んで、お礼に千両という大金をくれました。
それから娘は主人が用意してくれた立派なかごにのって故郷に帰り、熊蔵にたくさんのお礼をしたそうです。
おしまい
そして娘は息子と二人で蔵の中に入ると、息子をキッとにらみつけて言いました。
「さあ、お前の正体はわかっているよ! いったい、どこのキツネがついているんだい!」
すると息子は、おどおどながら言いました。
「こっ、ここの庭にまつられている、稲荷です」
「ふーん。しかし、家にまつられている神が、なぜその家の人たちを苦しめるんだい」
「はっ、はい。実はこの家はケチで、供え物が少ないんです。それで頭にきて屋敷のニワトリを食ったら、家の人に煮え湯をかけられて殺されました。だから死神のキツネになって、息子に取りついて、死ぬまで苦しめてやる事にしたのです」
「そうかい。じゃあ、わたしが家の主人に言って、お供え物を増やしてもらうから、もう悪さをするんじゃないよ」
「はっ、はい。お願いします」
さっそく娘は屋敷の主人にこの話をして、お供え物を増やしてもらいました。
するととたんに、息子は元のやさしい若者に戻ったのです。
「おおっ、息子が元に戻った。ありがとう。本当にありがとう」
主人はとても喜んで、お礼に千両という大金をくれました。
それから娘は主人が用意してくれた立派なかごにのって故郷に帰り、熊蔵にたくさんのお礼をしたそうです。
おしまい