キツネとタニシ
2023-07-31 来源:百合文库
むかしむかし、足の速いのがじまんのキツネがいました。
ある時、このキツネがタニシに言いました。
「ちょっと都(みやこ)まで、行って来たんじゃ」
キツネは足のおそいタニシを、いつもバカにしています。
「都までは遠いから、足のおそいタニシなんかには絶対に行けんところじゃな」
タニシはキツネがじまんばかりしているので、ちょっとからかってやろうと思いました。
「キツネさん、そんなに足が速いのなら、わたしと都まで競走(きょうそう)しませんか?」
「ギャハハハハハハー! タニシがどうやって、あんな遠くまで行けるんじゃい」
「キツネさんに行けるなら、わたしにだって行けます。だいたいキツネさんは、わたしよりはやく歩けるのですか?」
「なに! わしの方が速いに決まっとる!」
はじめはバカにしていたキツネも、だんだん怒ってきました。
「よーし、そんなに言うのなら、わしとどっちが早く都へ着くか競走じゃ!」
こうして、キツネとタニシの競走がはじまりました。
「よーい、ドン!」
キツネは、ドンドン歩きはじめました。
ふりかえって見ると、タニシはもう見えません。