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EPISODE.3 「ひとりぽっちの誕生日」(7)

2023-08-20 来源:百合文库
「帰ろう。」
諦めて、家の方向に足を向けると、奇妙な看板が目に入った。戸板に筆で殴り書いたような文字を見て僕は「あ」っとこえを上げた。
「不思議工房」
と書かれている。とっさに、同期の彼の言葉を思い出した。「僕たちは不思議工房で出会って、幸せになった。」ちょっと興味を持った。何とか道場のような看板と古びた家、およそ近所の学習塾にしか見えない「不思議工房」はきっとお見合い塾みたいなものだろうと思った。
06 ふしぎ工房
多少の暇つぶしになるか、そう吐き捨てて、僕はがたつく引きドアを開けた。中はがらんとのように思えた。目を凝らすと、奥にカウンターらしき大机があった。机越しに座っている人影が見える。僕はつかつかとそこに歩み追った。人影は老人だった。辺り見回したが、商品らしき物は見当たらない。やはりお見合い塾か、サークルの類だろう。すると、老人が眼鏡を置しに僕を見上げて、低い声で言った
「ご注文ですか?」

EPISODE.3 「ひとりぽっちの誕生日」


僕はカウンター前のパイプ椅子に腰を下ろすとかなり横柄(おうへい)な態度で言った。
「ちょっと、聞きたい事があるんだけど」
「どうぞう。」
老人は落ち着いた様子だった。
「前に女性恐怖症のやつがここに来なかった?あいつ何を買っていたの?」
「幸せを買っていかれました。」
「はあ?」
僕はぷと噴出すと今度は大笑いを出して笑った。
「ふん、ははは、こりゃいい。あいつはここで女と幸せを買っていたわけだ。ははは~」
「そんなに可笑しいですか?」
「だって、そうじゃないか、こんな怪しいところで見会いするなんて、まったくあいつらしいじゃないか。はは~」
「ご注文がなければ、お帰りください。」
老人はいたって冷静だった。僕は笑いを止め、老人に顔を近づく言った
「いや、注文はある。ここでは幸せを売っているんだろう、俺にも分けてもらえないかな、幸せとやろう。」

EPISODE.3 「ひとりぽっちの誕生日」


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