【现在开始动真格】祝!!川原砾10周年纪念(15)
そして俺は……ニヤリと笑い、
「いいや、思わないね」
これからが本当の作戦だからな。
「アリス!」
「言われずとも!」
ケット・シー姿のアリスが、いまだ手に持つ《金木犀の剣》に何かを念じる。
妖精アバターに戻ったにもかかわらず、その剣は健在だった。
柄だけの状態で。
「……むっ!?」
浜辺に着地した黄土色の土管、その周りにいつのまにか黄金の花弁がまとわりついている。
海中にたたき込んだあの初撃のあと、花びらたちは剣身に戻らず、復活するブラス・エディターを予想してずっと付近に滞空していたのだ。
黄金の群勢は、ざああっ! と木枯らしのような音を立てながら、螺旋を描き竜巻となって土管を包み込む。そして、やがて硬質で巨大な円柱を形作った。
それはまるでコーヒーチェーン店で売られているタンブラーのような形。
「アスナ!」
「うん!」
続いてウンディーネのアスナが魔法を高速で詠唱する。《ALO》ではその長い暗唱スペルを間違えるとファンブル扱いになり、もう一度最初から唱えなおす必要がある。
しかも《エクスキャリバー》獲得クエストで俺たちは痛感したが、アスナも俺もマスターしている攻撃魔法は圧倒的に少ない。つまりこの土壇場でのミスは許されないということだ。
しかしアスナは、ひと文句も間違えず、完璧に詠唱しきった。
海面から、巨大な竜が湧き上がってくる。海水で作り上げられたその水流が、上蓋のないタンブラーのような棺桶目掛けて突撃する。
「むむむむむ!!」
水の竜が直撃し、その圧力で棺桶の底に固定され身動きができないブラス・エディター。
水流の突撃が終わるころ、バコン! と花弁でつくられた蓋が棺桶を封印した。棺桶を閉じる。ほんの少し、隙間を残して。
そして、
「キリトくん!」
今度は俺の番だ。
アリスとアスナが時間を稼いでくれていた間に、詠唱し続けてきた魔法を発動させる。スプリガンの最上位魔法の一つ――雷撃魔法。
突き抜けるような青空に、いつのまにかゴロゴロと黒雲が発生し、そこから一筋の稲妻が迸る。
ガァアアン!! という轟音と共に棺桶に直撃した。黒雲から放たれる稲妻は一度では終わらず、連続性を帯びて何度も何度も撃ち放たれる。
ユイが叫ぶ。
「私たちで強く願うんです!! 敵の《心意》を上書き(オーバーライド)するために!」
* * * *
雷撃が終わった。稲妻の連続攻撃が終わり、あたりは静寂に包まれた。