【现在开始动真格】祝!!川原砾10周年纪念(17)
獣耳を頭に戴くケット・シーのアリスは、手に持つ《金木犀の剣》の花弁を呼び戻し、その剣身をふたたび現した。その剣は、粒子になって消えていく。《元ある世界》に帰っていったのだ。
脅威は去った。
俺も両手の剣をストレージにしまい、皆に向き直る。そして戦闘中、確認できなかったことを問うた。
「ユイ、本当に助かったよ。でも、あの手際の良い解析情報は、いったいどうやって?」
「そうだよね。さすがのユイちゃんも別次元の情報まで網羅しているわけはないのに、一体どうやって……」
「はい! 実は……《BrainBurst2039》の情報や、ゲート解析の最適パッチ、別次元からユージオさんを呼んでくるアイディアは私だけのものではありませんでした」
「え……?」
「誰か他にも助っ人がいたってことか?」
『うちの馬鹿者がお騒がせしてしまい、すまなかった』
会話を遮るように、どこかから音声が発せられた。その優しそうな威厳高き声は、ユイが展開しているホロウィンドウからた。
そこには、四角いメガネをかけた、グレーを基調とする金属製のデュエル・アバターの姿が。
「まさかこの人は……」
「ブリキ・ライターさんです」
『あいつは、暴走してしまって制御が利かなくなることが多くてね……《別世界》にまで迷惑をかけ始めて困っているところだったんだ。だからキミたちが制裁を加えてくれて、感謝してる。彼にも良い教訓になったはずだ。これに懲りて当分はおとなしくなるだろう』
「……はあ、なるほど……」
『これからもいろいろ苦労をかけるけど、よろしく頼みますね。私も、頑張ります』
ブリキ・ライターなる人物は力強くそう宣言すると、回線を切って姿を消した。
俺たちが把握していない別の世界では、きっといろんなことが起こってるんだろう。
しかし、それを俺は知りたいとも思わない。壮大なるこの世の摂理を違反するような気がするからだ。俺はこれからも、この世界で生き続けるだけだ。
「キリトくん……」
「ああ。なんとも不思議な出来事だったな……」
ともあれだ。
これで、ようやく元の話に戻ることができる。
「さあ、我が家に帰ろう。次に攻略する《クエスト》をいい加減決めないと、だからな」
「うん!」
「はい!」
「もちろん、アリスも一緒にな」
「ええ、ぜひ参加させてもらいます」
俺たちは愛すべきログハウスへ帰るべく、背中の翅を羽ばたかせようとして――。
そのとき、ヒラリヒラリと紙が落ちてきた。
「ん、これは……」
ブラス・エディターが取っていたメモの切れ端だ。