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三月のパンタシア「ガールズブルー」冬(4)

2023-03-18みあ三月のパンタシア 来源:百合文库
伽耶ちゃん、と、お母さん、の名前。いつもならとっくに帰宅している時間だ。後者の名前にチクっと胸が痛み、触れそうになるのを堪える。伽耶の名前をそっとなぞってみるとすぐに出た。
「未央ちゃん?大丈夫なの?」
「電話出れなくてごめん…寝てて…」
「は?えっ今どこにいるの」38 #三パシ冬
心配半分、憤り半分、という声が向こう側から聴こえてくる。
「⚪︎⚪︎駅のカラオケ宇宙…」
と伝えると
「宇宙?んー、私も行くから」
と伽耶は言った。それが、正直なところたまらなく嬉しくて、一人になりたかったはずなのに、ありがとう、という言葉が素直にこぼれていた。39 #三パシ冬
母はきっとかなり心配しているだろう。父はどうなのだろうか。心配している?反対したことを後悔している?
…それなら、もっと後悔してほしい。チクチク刺さる痛みを無視して、「うちには帰らない」とだけ母に送り、私は思い切って、もう一度携帯の電源を切った。40 #三パシ冬
店を出ると冷たい夜の空気にまた心細くなる。ヘッドホンから流れこむ音楽に、蘇る鮮やかなライブの記憶。武道館公演は六月九日だ。行きたいな。ほんの少し先の未来、私は何に向かって生きてるんだろう。私の描く夢はそんなに否定されるものなのだろうか。悔しくてまた涙が滲んでくる。41 #三パシ冬
しばらくするとラフな格好の伽耶がやってきて、制服姿の私に驚いた。「制服で家出?危な!」そう言って呆れたように笑う彼女に小さく抱きついていた。「ごめん、ありがとう」こらえていた涙が少し零れてしまった。
「お腹空いてない?」と尋ねる伽耶に、空いた、という思いと同時に、42 #三パシ冬
「あ、お弁当…ある」と、思い出した。「じゃあ公園でご飯だ。なんか家出っぽいね」伽耶は笑ってスマホで近くの公園を調べて歩き出した。
二人並んで夜の街を歩く。さっきまでは不安でしかなかった夜の闇も、伽耶が隣にいると、何だか星を探したくなるような余裕すら生まれてしまう。43 #三パシ冬
通りがけの雑貨店で買ったブランケットを膝にかけ、公園のベンチに座る。寄り添うと、想像以上に温かい。
きれいに包まれた弁当を、中々広げられずにいる私に「で、なんで学校サボって家出してるの?」と肉まんをかじる伽耶が問う。一つ、大きく息を吸い昨日の夜のことを全て話した。44 #三パシ冬
「伽耶ちゃんはさ、留学、反対されなかったの?」
「ずっとされてたよー。日本にも有名な学校あるでしょうって大反対。…でもさ、たまたま雑誌でみたパリコレの特集がそれはもう衝撃的で。それからイギリスのブランドにのめり込んでさ。その内、あぁ私も必ずあの場所で学びたいって」45 #三パシ冬
「でも全然納得してもらえなくて、悔しくて英語だけは上位に入れるように必死に勉強した。高1の一年間は死ぬ気でバイトして百万円貯めて。で、『やっぱり海外で学びたい。まだ全然足りないけどお金も自分でつくるから行かせてほしい』ってまた頭下げて。それで両親も観念したみたい」46 #三パシ冬
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