《弹珠汽水瓶里的千岁同学》第七卷超长后记(生)(6)
デビュー作としては史上初の二連覇、充分すぎる勲章だ。
世間にはありがたい評価をいただいたし、ファンでいてくれるみんなからのプレゼント応援も受けとった。
もう満ち足りているからと足を止めたところで、まわりの誰にも文句は言われないだろう。
それでもまだ次を目指そうとするなら、望むなら、ここから先はただプライドを賭けた己との戦いでしかない。
ただしその一歩を踏み出してしまったら、今度こそ過去の自分自身に負けるかもしれない恐怖と向き合うことになる。
……もういいだろう、6・5巻一冊なら言い訳もきく。
発売月を延期して、ゆっくりと時間をかけながらこの物語に向き合おう。焦って質の低いものを世に出すほうが読者に対して不誠実だ。
いったい何度そういう誘惑に負けてしまいそうだったかわからない。
だけどそんな僕を支えてくれたのは、
──月に手を伸ばせ。
チラムネが教えてくれたことだった。
行く末なんて誰にもわからないけど、ありったけで挑んでそれでも散るなら仕方ない。
だけど戦う前から言い訳して逃げ出すことだけは絶対に違う。
目を背けたくない、もうこれで充分だからと勝手に自分を、チラムネを諦めたくない。
まだ届いていないなら、たとえ届かないとしても手を伸ばしたい。
ずっと自分で綴ってきたことだ。
熱くなることは格好いい、がむしゃらに目の前の一瞬をあがけ、たとえつまずいたとしてもそれこそが挑戦し続けている証だ、可能性を信じて前を向き夢を追いかけろ。
だったら誰よりもまず自分自身がそういう生き様を見せないと、チラムネという物語にも、それを信じてついてきてくれた読者にも申し訳が立たないだろ。
それに、たったひとつだけ僕には希望があった。
望紅葉という女の子だ。
ここで後輩を出すことは決めていたので、彼女の存在によって物語が動き出すかもしれない。
だけど名前と容姿のイメージ以外はなにひとつ考えていなかったから、実際に登場するまでどんな性格で、どんな台詞を紡ぎ、どんな想いを抱えているのかもわからなかった。
そうして迎えた応援団の顔合わせシーン。
僕はあっけなく深い絶望に呑み込まれた。
ただ素直でかわいい女の子がひとり増えただけで、停滞は停滞のまま、ぴくりとも時間は流れ始めてくれなかった。
世間にはありがたい評価をいただいたし、ファンでいてくれるみんなからのプレゼント応援も受けとった。
もう満ち足りているからと足を止めたところで、まわりの誰にも文句は言われないだろう。
それでもまだ次を目指そうとするなら、望むなら、ここから先はただプライドを賭けた己との戦いでしかない。
ただしその一歩を踏み出してしまったら、今度こそ過去の自分自身に負けるかもしれない恐怖と向き合うことになる。
……もういいだろう、6・5巻一冊なら言い訳もきく。
発売月を延期して、ゆっくりと時間をかけながらこの物語に向き合おう。焦って質の低いものを世に出すほうが読者に対して不誠実だ。
いったい何度そういう誘惑に負けてしまいそうだったかわからない。
だけどそんな僕を支えてくれたのは、
──月に手を伸ばせ。
チラムネが教えてくれたことだった。
行く末なんて誰にもわからないけど、ありったけで挑んでそれでも散るなら仕方ない。
だけど戦う前から言い訳して逃げ出すことだけは絶対に違う。
目を背けたくない、もうこれで充分だからと勝手に自分を、チラムネを諦めたくない。
まだ届いていないなら、たとえ届かないとしても手を伸ばしたい。
ずっと自分で綴ってきたことだ。
熱くなることは格好いい、がむしゃらに目の前の一瞬をあがけ、たとえつまずいたとしてもそれこそが挑戦し続けている証だ、可能性を信じて前を向き夢を追いかけろ。
だったら誰よりもまず自分自身がそういう生き様を見せないと、チラムネという物語にも、それを信じてついてきてくれた読者にも申し訳が立たないだろ。
それに、たったひとつだけ僕には希望があった。
望紅葉という女の子だ。
ここで後輩を出すことは決めていたので、彼女の存在によって物語が動き出すかもしれない。
だけど名前と容姿のイメージ以外はなにひとつ考えていなかったから、実際に登場するまでどんな性格で、どんな台詞を紡ぎ、どんな想いを抱えているのかもわからなかった。
そうして迎えた応援団の顔合わせシーン。
僕はあっけなく深い絶望に呑み込まれた。
ただ素直でかわいい女の子がひとり増えただけで、停滞は停滞のまま、ぴくりとも時間は流れ始めてくれなかった。