【极北的彼方】故事线前外传「雨を乞う星夜」(机翻 附作者原文)(20)
決してスポンサーを喜ばそうとした訳ではない。いや、これからも良好な関係を継続していく為にそれは重要なことだが、何より真剣に物づくりに挑戦しているこの人たちを”興味がない”と一蹴してしまうのは失礼に感じたから、何とか改善点を見つけて伝えたまでだ。
「店頭でのプロモーションやカタログに使用する写真も、またお願いしますね! なるべく早めに試作ボディをお渡ししますので」
「あぁ、はい。分かりました」
再び車に乗り込んだ僕は、アレックスを降ろしたショッピングモールまで戻ってきた。地下駐車場へ入ると、いくつかの紙袋を持った彼の姿が見えた。
「待ったかい?」
ウィンドウを下げて、彼に尋ねる。
「いや、全然待ってないよ。迎えに来てくれてありがとう」
そう言うと後部座席のドアを開け、脱いだ上着と紙袋たちを置く。何故か、それらは少し雨に濡れていた。
「あれ? ショッピングモールの外へ出たの?」
「うん。これが飲みたくてさ」
助手席へ乗り込んだ彼の両手には、蓋の付いた紙カップが握られていた。指の隙間からは、ここから少し歩いたところにあるカフェのロゴが見えた。
「片方はウォルターの分」
「ありがとう。アレックスはあそこのコーヒーが本当に好きなんだね」
「……なんて言うか、ちょっと懐かしい味なんだよ」
「懐かしい味……?」
このカフェのコーヒーは少し苦味が強いものの、特別な風味がある訳ではない。
「子供の頃に飲んだとか?」
「そういう訳じゃないけど……。でも、そんな感覚ってあるだろ?」
「あるような、ないような……」
アレックスがシートベルトを締めたことを確認し、再び雨の降り頻る大都市へ走り出す。混雑している街中をしばらく走った後はハイウェイに乗り、普段よりも速度を落としながら巡航していると、ラジオからは四時を告げる時報が流れた。夜が近づき、周囲は少しずつ物悲しい色合いに変わってきている。あと三時間……いや、あと二時間だけこの雨が続いてくれれば、僕はアレックスと一緒に旅へ出られるだろう。
水飛沫で見え隠れする前のセダンをしっかり見つつ、センターコンソールに置かれたコーヒーを飲む。
「さっきカフェでナンパされた」
「店頭でのプロモーションやカタログに使用する写真も、またお願いしますね! なるべく早めに試作ボディをお渡ししますので」
「あぁ、はい。分かりました」
再び車に乗り込んだ僕は、アレックスを降ろしたショッピングモールまで戻ってきた。地下駐車場へ入ると、いくつかの紙袋を持った彼の姿が見えた。
「待ったかい?」
ウィンドウを下げて、彼に尋ねる。
「いや、全然待ってないよ。迎えに来てくれてありがとう」
そう言うと後部座席のドアを開け、脱いだ上着と紙袋たちを置く。何故か、それらは少し雨に濡れていた。
「あれ? ショッピングモールの外へ出たの?」
「うん。これが飲みたくてさ」
助手席へ乗り込んだ彼の両手には、蓋の付いた紙カップが握られていた。指の隙間からは、ここから少し歩いたところにあるカフェのロゴが見えた。
「片方はウォルターの分」
「ありがとう。アレックスはあそこのコーヒーが本当に好きなんだね」
「……なんて言うか、ちょっと懐かしい味なんだよ」
「懐かしい味……?」
このカフェのコーヒーは少し苦味が強いものの、特別な風味がある訳ではない。
「子供の頃に飲んだとか?」
「そういう訳じゃないけど……。でも、そんな感覚ってあるだろ?」
「あるような、ないような……」
アレックスがシートベルトを締めたことを確認し、再び雨の降り頻る大都市へ走り出す。混雑している街中をしばらく走った後はハイウェイに乗り、普段よりも速度を落としながら巡航していると、ラジオからは四時を告げる時報が流れた。夜が近づき、周囲は少しずつ物悲しい色合いに変わってきている。あと三時間……いや、あと二時間だけこの雨が続いてくれれば、僕はアレックスと一緒に旅へ出られるだろう。
水飛沫で見え隠れする前のセダンをしっかり見つつ、センターコンソールに置かれたコーヒーを飲む。
「さっきカフェでナンパされた」