第21话 欣喜的理由是(9)
だってそうだろう。
文化祭デートなんていう夢にも等しいひとときを、世界で一番好きな女の子とともに過ごせるのだ。俺の心がどれだけ歓喜していたか、とても言葉では語れない。
「だから……ありがとう。紫条院さんと一緒の文化祭は、とてつもなく楽しかった」
「新浜君……」
隠すことなく語った俺の心の内を聞き、紫条院さんはそっと自分の胸に手を当てた。
「……不思議です。新浜君にそう言ってもらえると、さっきよりもさらに心が喜んでいます。今日は本当に……嬉しいことばかりです」
「ああ、嬉しいことばかりだな」
言って、俺たちはどちらともなくクスリと笑った。
周囲から絶え間なく響く喧噪が、否応なく気分を高揚させる。
ハレの日の非日常が、俺の心を素直にしてくれているのに気付く。
つまるところ、俺は自分の想像以上に浮かれていたのだ。
遠くにある体育館から、ブラスバンドか何かの演奏が聞こえてくる。
プラカードを持った生徒が、出し物の呼び込みに声を張り上げる。
タコ焼きやクレープを片手に、誰もが笑顔でおしゃべりに興じている。
その空気に身を浸すように――俺たちは何が面白いのかお互いに笑い合い、『嬉しい』という気持ちを共有しあった。
「時間が過ぎ去るのは早いな……もうすぐ俺のシフトの時間だ」
休憩所でまったりと焼きソバを食べ終えた俺たちは、時計の針が思ったよりも進んでいることに気付き、自分たちのクラスへと足を向けていた。
「はい、私もです。ちょっと名残惜しいですけどこれで宣伝のお仕事は終わりですね」
あ、そうか……半ば忘れていたけど俺たちが一緒に校内を歩き回っていたのはあくまでクラスの出し物の宣伝という口実だったな。
「さて、それじゃ俺も衣装を受け取って――」
文化祭デートなんていう夢にも等しいひとときを、世界で一番好きな女の子とともに過ごせるのだ。俺の心がどれだけ歓喜していたか、とても言葉では語れない。
「だから……ありがとう。紫条院さんと一緒の文化祭は、とてつもなく楽しかった」
「新浜君……」
隠すことなく語った俺の心の内を聞き、紫条院さんはそっと自分の胸に手を当てた。
「……不思議です。新浜君にそう言ってもらえると、さっきよりもさらに心が喜んでいます。今日は本当に……嬉しいことばかりです」
「ああ、嬉しいことばかりだな」
言って、俺たちはどちらともなくクスリと笑った。
周囲から絶え間なく響く喧噪が、否応なく気分を高揚させる。
ハレの日の非日常が、俺の心を素直にしてくれているのに気付く。
つまるところ、俺は自分の想像以上に浮かれていたのだ。
遠くにある体育館から、ブラスバンドか何かの演奏が聞こえてくる。
プラカードを持った生徒が、出し物の呼び込みに声を張り上げる。
タコ焼きやクレープを片手に、誰もが笑顔でおしゃべりに興じている。
その空気に身を浸すように――俺たちは何が面白いのかお互いに笑い合い、『嬉しい』という気持ちを共有しあった。
「時間が過ぎ去るのは早いな……もうすぐ俺のシフトの時間だ」
休憩所でまったりと焼きソバを食べ終えた俺たちは、時計の針が思ったよりも進んでいることに気付き、自分たちのクラスへと足を向けていた。
「はい、私もです。ちょっと名残惜しいですけどこれで宣伝のお仕事は終わりですね」
あ、そうか……半ば忘れていたけど俺たちが一緒に校内を歩き回っていたのはあくまでクラスの出し物の宣伝という口実だったな。
「さて、それじゃ俺も衣装を受け取って――」