第21话 欣喜的理由是(6)
「んーっ! この焼きソバ美味しいです! カレースパイスが良い感じで!」
「ああ、確かに美味い……よく工夫してるな」
粉のスパイスミックスが絶妙な調合具合で、それがゴロゴロ入っているベーコンのガッツリした旨味と相性良くとても美味い。
さっきのプラネタリウムもそうだが、こういう出し物に対する工夫を見ると高校生の熱意を感じてなんだか嬉しくなる。
「そう言えば焼きソバは絶対食べるって言ってたけど、紫条院さんの好物なのか?」
「ええ、私とお父様はこういうのが好きなんです。逆にお祖父様は大っ嫌いで、『春華にそんなジャンクなもの食べさせるな!』ってよくお父様に言っていました」
お祖父様というのは……もしや紫条院家の長たる人なのだろうか?
なんか凄く厳格そうだ。
「でもお父様はお父様で『やかましい! 庶民の味を知らないジジイはフォアグラでも食って血管詰まらせてろ!』なんて言って喧嘩してましたけどね」
「うわあ、めっちゃ言い返してる」
紫条院さんのお父さん……紫条院時宗氏か。
庶民出身だけど自分の会社を急成長させて名家である紫条院に婿入りした立身出世の人で、その名前は多くの人が知っている。
養子に入るやいなや、当時経済的に傾いていた紫条院家を建て直した逸話は有名らしく、よくスーパー社長として取り上げられている。
記事によっては『紫条院家は時代錯誤な政略結婚で娘を売り、若き成功者を買った』と書いていることもあったが、紫条院さんによると夫婦仲はとても円満らしい。
「特にお祭りで食べる焼きソバは好きなんです!」
名家のお嬢様は、庶民の味を堪能して笑顔を浮かべる。
「私が小さい頃はお父様がとにかく忙しくて家族で出かけることがなかなかできなかったんですけど……私がどうしても家族で縁日に行きたいと駄々をこねたら一度だけ無理矢理休みを作って連れて行ってくれたんです」
「ああ、確かに美味い……よく工夫してるな」
粉のスパイスミックスが絶妙な調合具合で、それがゴロゴロ入っているベーコンのガッツリした旨味と相性良くとても美味い。
さっきのプラネタリウムもそうだが、こういう出し物に対する工夫を見ると高校生の熱意を感じてなんだか嬉しくなる。
「そう言えば焼きソバは絶対食べるって言ってたけど、紫条院さんの好物なのか?」
「ええ、私とお父様はこういうのが好きなんです。逆にお祖父様は大っ嫌いで、『春華にそんなジャンクなもの食べさせるな!』ってよくお父様に言っていました」
お祖父様というのは……もしや紫条院家の長たる人なのだろうか?
なんか凄く厳格そうだ。
「でもお父様はお父様で『やかましい! 庶民の味を知らないジジイはフォアグラでも食って血管詰まらせてろ!』なんて言って喧嘩してましたけどね」
「うわあ、めっちゃ言い返してる」
紫条院さんのお父さん……紫条院時宗氏か。
庶民出身だけど自分の会社を急成長させて名家である紫条院に婿入りした立身出世の人で、その名前は多くの人が知っている。
養子に入るやいなや、当時経済的に傾いていた紫条院家を建て直した逸話は有名らしく、よくスーパー社長として取り上げられている。
記事によっては『紫条院家は時代錯誤な政略結婚で娘を売り、若き成功者を買った』と書いていることもあったが、紫条院さんによると夫婦仲はとても円満らしい。
「特にお祭りで食べる焼きソバは好きなんです!」
名家のお嬢様は、庶民の味を堪能して笑顔を浮かべる。
「私が小さい頃はお父様がとにかく忙しくて家族で出かけることがなかなかできなかったんですけど……私がどうしても家族で縁日に行きたいと駄々をこねたら一度だけ無理矢理休みを作って連れて行ってくれたんです」