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屋敷を救ったカエル(2)

2023-11-01 来源:百合文库
「明日になったら、池のカエルを一匹残らず殺してしまえ!」
その夜、白い衣をまとった小さな太った老人が、主人の夢枕に立ちました。
「われは、古くからこの池に住んでおるカエルの精だ。 池に引き込んでわれらが殺したあの男は、何も悪さをしていないカエルの子を踏み殺して数多くの命をうばった。 われらカエルとて、子をおもう気持ちは人間と同じじゃ。子をうばわれた親たちが、仕返しをしたまでじゃ。 しかしこの事で、お主は明日カエル狩りをするそうだな。 もしわれらの命を救ってくれたなら、火事の時はわれらカエルたちが力を合わせて、この屋敷を守ってやろうぞ」
夢枕に立ったカエルの精は、そういって消えていきました。

屋敷を救ったカエル


翌朝、目を覚ました屋敷の主人は、殺された使用人がカエルの子を踏み殺していた事実を確認すると、池のカエル狩りをやめることにしたのです。
それからしばらくして、あの大火事がおこったのです。
屋敷はちょうど風下なので、火の手から逃れる方法がありません。
火は隣の屋敷を包み込んで、この屋敷が燃え上がるのも時間の問題でした。
そのときです。
何百、何千というカエルたちが池の中から現れると、お腹がぱんぱんになるまで水を吸いこんで、屋敷に向かっていっせいに水を吹きつけたのです。
 プシュー!
 プシュー!
 プシュー!
カエルたちは何度も何度も池の水を吸い、繰返し繰返、屋敷に向かって水を吹きつけました。

屋敷を救ったカエル


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