《因为不是真正的伙伴而被逐出勇者队伍，流落到边境展开慢活人生8》-第一章 1/4(16)

だからこそ、ただの手合わせか重要なのだと俺は思う。
殺さなければ加護レベルは上がらない、手合わせは加護に何の影響も及ばさない。
無意味な戦いをしている暇があるなら、モンスターを狩って加護レ ベルを上げろという思想の戦士も多い。
「戦う技術は加護のためにあるものじゃない」
「それは私も分かるわ。 剣には哲学があるってのが師匠の口癖だったもの」
リットの師匠、ロガーヴィア公国近衛兵隊隊長ガイウス 。
軍事大国ロガーヴィア公国の精鋭である近衛兵隊の隊長を務め、リットの幼少の折から教育を任せられた重臣。
剣術もさぞ卓越したものだったのだろう。
「ガイウスさんとも一度手合わせしてみたかったな」
「ふーん……だったら私ともやらない?」
リットが身を乗り出して俺の顔に自分の顔を近づける。
美しい空色の瞳が間近に迫り、俺はドキリとしてしまった。
「考えてみれば私、一度もレッドと手合わせしたことないじゃない

「確かに」
「他の仲間とは手合わせしたことあるんでしょ?」
「魔法専門だったアレスと俺が抜けた後に入ってきたテイセとは手合わせしたことないけれど……他はやったな」
「だったら私とも手合わせやってよ！」
「いやでもなあ……」
俺はうーんと唸る。
手合わせはマーシフルの魔法かマジックポーションを用いて行うのが普通だ。
この魔法は相手を傷つけず捕らえるための魔法で、武器や自分の肉体にかけることで生物を傷つけることができなくなる。この効果で武器を使っても遠慮なく全力で戦えるというわけだ。
だが傷つけない代わりに、痛みだけが相手を襲う。死ぬような攻撃を受ければ痛みで気絶するほどだ。
身体の弱い者だとショック死してしまうことすらある。
いくら傷つけないとはいえ、 そんな痛みを与える刃をリットに向けて俺は振るえるのだろ、つか?
「いや無理だな」
「えー」
リットはロをとがらせ抗議しているが無理なものは無理だ。