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《大正浪漫》,夜游改编小说大赛vol. 2优胜作品(6)

2023-10-27YOASOBI大正ロマンス 来源:百合文库
家に帰るまで待ちきれずに道端で傘を差したままそれを開くと、そこには見覚えのある、僕がずっと待ち望んでいた字があった。
雨の音が遠のく。僕の心は一瞬であの夏に戻っていた。
時翔くん
あの時はお手紙ありがとう。私は震災から奇跡的に生き残って、今こうして長生きできています。
震災に遭って何週間か後に家のあった場所に行ってみたら時翔くんからの手紙が落ちていました。他のものは全部燃えて無くなっていたのに。火が消えてから届いたのかもしれません。
私を助けようとしてくれてありがとう。時翔くんの手紙を読んで涙が止まりませんでした。
私はあんなに勝手に気持ちをぶつけたのに。
すぐに返事を書いたのだけど、もうそちらの時代には届かないみたいでした。だから、息子が時翔くんに巡り合ってくれる奇跡を信じてこの手紙を託します。
そういえば、洗濯機もエアコンもこの目で見ることができました。洗濯機は私が誰よりも先に考えたと勝手に思ってるけどね。他にも時翔くんの言ってた沢山の機械で生活が豊かになりました。

《大正浪漫》,夜游改编小说大赛vol. 2优胜作品


私は病気でもうすぐこの世を去ります。来月で80歳だから、それまでは頑張りたいんだけど。
時翔くん、私たち未来のどこかで会えるよね。楽しみにしています。
千代子より
涙が頬を伝った。あの日とは違う温かい涙だった。
生きていた。彼女はあの震災をくぐり抜けて、憧れていた綺麗なお姉さんになれた。それだけで十分だった。そのうえ最期の時に僕を思い出して手紙を書いてくれたのだ。
スマホと同じ、本人たちにも仕組みがさっぱり分からない文通。
スマホを使ったら色んな場所にいる人と繋がることができるけど、未来には色んな時代の人と繋がることができる機械があったりするのかも。
そんなことをふと考え、僕も彼女のように未来のことについてあれこれ想像を膨らませてみる。
僕も長生きして、お土産話いっぱい持っていくから待っててね、千代子ちゃん。
そう誓うと彼女が微笑んでくれたような気がした。

《大正浪漫》,夜游改编小说大赛vol. 2优胜作品


空を見上げると、いつのまにか雨は止んでいた。
さあ、今年も夏が始まる。
僕は傘をたたみ、大きな一歩を踏み出した。


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