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ネコとネズミ(2)

2023-09-16 来源:百合文库
 ネズミは袋からこぼれた豆を、拾おうとしています。
 そのとたん、ネコはネズミに飛びかかっていきました。
「ひゃ~っ!」
 おどろいたネズミは、今にも泣きそうな声で言いました。
「お願いです。どうかわたしを、見逃して下さい。わたしたちネズミは、ネズミのお宝をみがかなくてはなりません。これは、大変な仕事なのです。疲れがたまったのか、お母さんが病気で倒れてしまったのです。それでお母さんに栄養をつけさせようと、豆を探しに出て来たところです。お母さんが元気になったら、わたしはあなたに食べられに出てきます。それまでどうか、待ってください」
「・・・・・・」
 ネコは、ネズミをはなしてやりました。
「ありがとうございます。約束は必ず守りますから」
 子ネズミが穴の中へ帰ってしばらくすると、ネズミたちの前に豆がバラバラと落ちてきました。

ネコとネズミ


 子ネズミが驚いて顔をあげてみると、なんとネコが一粒一粒、豆を穴から落としているのです。
 子ネズミは豆をお母さんに渡すと、ネコの前に出て言いました。
「ネコさん、ありがとう。これでお母さんも、元気になる事でしょう。さあ約束通り、わたしを食べて下さい」
 しかしネコは持っていた残りの豆を子ネズミの前に置くと、そのまま納屋から出て行きました。
「ありがとう。ネコさん」
 ネズミの目から、涙がポロリとこぼれました。
 それから何日かたった、ある日の事。納屋の方から、
♪チャリン、チャリン
と、いう音がします。
 納屋の戸を開けたおじいさんとおばあさんは、目を丸くしました。
「これは、どうした事じゃ?」
 なんと床の穴の中から、小判がどんどんと出てくるのです。
 そして小判のあとから子ネズミ、母ネズミ、ほかのネズミたちも出て来ました。

ネコとネズミ


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