翼をもらった月(3)
2023-09-15日语睡前故事20210504 来源:百合文库
「あっ、おじいさんにおばあさん!」
ビックリする娘に、おじいさんがやさしく言いました。
「カモや、・・・いや娘や、カモの羽は全て焼いてしまったよ。これでもう、お前は娘の姿のままだね」
おじいさんの言葉に、娘は焼けていく羽を見てビックリです。
「羽を! 何て事をするのですか!」
それから娘は悲しそうな顔をして、おじいさんとおばあさんに言いました。
「実は私は、月なのです。お二人が毎晩、子どもがさずかりますようにとおいのりをしているのを見ていて、昼間だけでも子どもの役目をしようと子ガモの姿をかりておりて来ました。けれど私は月です。夜には、空へ帰らなければなりません。でも羽がないと、空にもどる事は出来ません」
「おお、それは知らなかった。月が夜空をてらしてくれなければ、夜はやみにつつまれてしまう。どうしたらいいんだ」
おじいさんとおばあさんがオロオロしていると、娘は言いました。
「それでは森へ行って、森中の鳥の羽を一本ずつもらってください。そしてその羽を持ってチレリイの谷に住む魔法使いのおばあさんのところへ行き、もう一度カモの羽のつばさを作ってもらってください。わたしはカモのつばさが出来るまで、森のほら穴にかくれています」
おじいさんとおばあさんは、急いで森へ出かけて行きました。そして出会った鳥に、羽を一本ずつわけてもらいました。でも、おしゃれなセキレイ(→スズメ目セキレイ科の小鳥の事)だけは、「どうしても羽がほしいのなら、真珠(しんじゅ)の首かざりをちょうだい」
と、言います。真珠なんて持っていないおばあさんは、悲しくて涙を流しました。するとその涙は草の上に落ちたとたん、二粒の真珠になりました。おじいさんとおばあさんは草をあんで、その真珠をつけて首かざりを作りました。
「ありがとう。こんなのがほしかったのよ」
セキレイは首のわた毛を一本抜いて、おじいさんとおばあさんにわたしました。全ての羽を集めたおじいさんとおばあさんはチレリイの谷へ行き、魔法使いのおばあさんにカモのつばさを作ってくれるようたのみました。魔法使いのおばあさんは、二人が子ガモのつばさを焼いてしまったことをひどく怒りましたが、
「今度だけだよ」と、子ガモのつばさを作ってくれました。
おじいさんとおばあさんは新しい子ガモのつばさを大事にかかえて、娘のいるほら穴へむかいました。夜空は月がなくてまっ暗だったので、おじいさんとおばあさんは途中で何度も転びました。そしてようやくほら穴にたどりついた時には、おじいさんもおばあさんもクタクタです。
ビックリする娘に、おじいさんがやさしく言いました。
「カモや、・・・いや娘や、カモの羽は全て焼いてしまったよ。これでもう、お前は娘の姿のままだね」
おじいさんの言葉に、娘は焼けていく羽を見てビックリです。
「羽を! 何て事をするのですか!」
それから娘は悲しそうな顔をして、おじいさんとおばあさんに言いました。
「実は私は、月なのです。お二人が毎晩、子どもがさずかりますようにとおいのりをしているのを見ていて、昼間だけでも子どもの役目をしようと子ガモの姿をかりておりて来ました。けれど私は月です。夜には、空へ帰らなければなりません。でも羽がないと、空にもどる事は出来ません」
「おお、それは知らなかった。月が夜空をてらしてくれなければ、夜はやみにつつまれてしまう。どうしたらいいんだ」
おじいさんとおばあさんがオロオロしていると、娘は言いました。
「それでは森へ行って、森中の鳥の羽を一本ずつもらってください。そしてその羽を持ってチレリイの谷に住む魔法使いのおばあさんのところへ行き、もう一度カモの羽のつばさを作ってもらってください。わたしはカモのつばさが出来るまで、森のほら穴にかくれています」
おじいさんとおばあさんは、急いで森へ出かけて行きました。そして出会った鳥に、羽を一本ずつわけてもらいました。でも、おしゃれなセキレイ(→スズメ目セキレイ科の小鳥の事)だけは、「どうしても羽がほしいのなら、真珠(しんじゅ)の首かざりをちょうだい」
と、言います。真珠なんて持っていないおばあさんは、悲しくて涙を流しました。するとその涙は草の上に落ちたとたん、二粒の真珠になりました。おじいさんとおばあさんは草をあんで、その真珠をつけて首かざりを作りました。
「ありがとう。こんなのがほしかったのよ」
セキレイは首のわた毛を一本抜いて、おじいさんとおばあさんにわたしました。全ての羽を集めたおじいさんとおばあさんはチレリイの谷へ行き、魔法使いのおばあさんにカモのつばさを作ってくれるようたのみました。魔法使いのおばあさんは、二人が子ガモのつばさを焼いてしまったことをひどく怒りましたが、
「今度だけだよ」と、子ガモのつばさを作ってくれました。
おじいさんとおばあさんは新しい子ガモのつばさを大事にかかえて、娘のいるほら穴へむかいました。夜空は月がなくてまっ暗だったので、おじいさんとおばあさんは途中で何度も転びました。そしてようやくほら穴にたどりついた時には、おじいさんもおばあさんもクタクタです。