EPISODE.3 「ひとりぽっちの誕生日」(12)
2023-08-20 来源:百合文库
はっと気づくと、そこは最初に入ったショットバーのカウンターだった。あわてて辺りを見回すが、あの男の姿は見えない。目の前にマスターがいるだけだ
「あれ?いつの間にか、僕は寝ってしまっていたのか?」
恐る恐るマスターに尋ねてみた
「あの、先まで隣にいた男の客は?」
すると、マスターが怪訝そうな顔をした。
「何を言っているんですか?今夜のお客さんはあなた一人だけですよ。それより、そろそろ弊店時間なんですが~」
店を出て歩き出した僕は、それでもなんだか納得できない気分だった。おかしい、僕は夢でも見ていたのか?それにしては、あまりにリアルな夢だ。生々しい感触だって残っている。脇腹(わきばら)に手を当ててみると、ずきっと痛みが走った。やっぱり夢なんかじゃない、これはあの男に蹴られたせいだ。きっと気を失った僕をあの店まで運んできた違いない。警察ざたになることを恐れて、マスターと共謀(きょうぼう)して、僕を嵌めやがたんだ。
「くそっ!何ってやつだ!」
明日になったら、あの店にもう一度行って、どこのどいつが調べやがってやる!絶対に許せないぞ!そこまで考えて、僕はあることに気づいて、ふと足を止めた。待てよ、あいつ、どんな顔をしてだっけ?あれだけながくいたのにあいつの顔が思い出せない。それじゃ、見つけられないじゃないか?顔が分からなければ、惚けられて、おしまいだ。そんな馬鹿な、なぜ思い出せないんだ!暫く考えみたが、どうしてもはっきりしない。もしかしたら、本当に夢でも見ていたのではないかという気さえしてくる
「そんな馬鹿な!」
僕は独り言を言って、今日のところは考えのをやめることにした。少し酔いが回っているだけだ。明日になれば思い出せるだろう。そう自分に言い聞かせて、家を急ぐことにした。明日からの仕事に、どう取り組めば分からなかったが、とにかく疲れていて眠かった。
10 誕生日おめでとう
自宅マンションのドアを開け、電気をつけると、奥のリビングのテーブルに何か置いてあるのが見えた。そばに行くと、それはバースデーケーキとそれを囲むようにきれいに並べられた料理だった。どうやら、彼女が来ていたらしい。待ちくたびれで、帰ったのか、そう思いながら、急にむしゃくしゃしてきて、僕はそれをテーブルごと引っ繰り返した
「あれ?いつの間にか、僕は寝ってしまっていたのか?」
恐る恐るマスターに尋ねてみた
「あの、先まで隣にいた男の客は?」
すると、マスターが怪訝そうな顔をした。
「何を言っているんですか?今夜のお客さんはあなた一人だけですよ。それより、そろそろ弊店時間なんですが~」
店を出て歩き出した僕は、それでもなんだか納得できない気分だった。おかしい、僕は夢でも見ていたのか?それにしては、あまりにリアルな夢だ。生々しい感触だって残っている。脇腹(わきばら)に手を当ててみると、ずきっと痛みが走った。やっぱり夢なんかじゃない、これはあの男に蹴られたせいだ。きっと気を失った僕をあの店まで運んできた違いない。警察ざたになることを恐れて、マスターと共謀(きょうぼう)して、僕を嵌めやがたんだ。
「くそっ!何ってやつだ!」
明日になったら、あの店にもう一度行って、どこのどいつが調べやがってやる!絶対に許せないぞ!そこまで考えて、僕はあることに気づいて、ふと足を止めた。待てよ、あいつ、どんな顔をしてだっけ?あれだけながくいたのにあいつの顔が思い出せない。それじゃ、見つけられないじゃないか?顔が分からなければ、惚けられて、おしまいだ。そんな馬鹿な、なぜ思い出せないんだ!暫く考えみたが、どうしてもはっきりしない。もしかしたら、本当に夢でも見ていたのではないかという気さえしてくる
「そんな馬鹿な!」
僕は独り言を言って、今日のところは考えのをやめることにした。少し酔いが回っているだけだ。明日になれば思い出せるだろう。そう自分に言い聞かせて、家を急ぐことにした。明日からの仕事に、どう取り組めば分からなかったが、とにかく疲れていて眠かった。
10 誕生日おめでとう
自宅マンションのドアを開け、電気をつけると、奥のリビングのテーブルに何か置いてあるのが見えた。そばに行くと、それはバースデーケーキとそれを囲むようにきれいに並べられた料理だった。どうやら、彼女が来ていたらしい。待ちくたびれで、帰ったのか、そう思いながら、急にむしゃくしゃしてきて、僕はそれをテーブルごと引っ繰り返した