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もち屋の禅問答

2023-08-02日语睡前故事20210406 来源:百合文库

もち屋の禅問答


むかしむかし、あるところに、とても大きなお寺がありました。
 寺はとても立派ですが、困った事に、この寺の和尚(おしょう)ときたら、勉強が嫌いな上に物知らずです。
 さて、ある日の事、一人の旅の坊さんがやって来て、
「それがし、禅問答(ぜんもんどう)をいたそうとぞんじてまかりこしたが、寺の和尚どのはおられるかな」
と、ちょうど玄関の掃除をしていた、この寺の和尚さんに尋ねたのです。
 さあ問答と聞いて、和尚さんはビックリしました。
 相手は、仁王(におう)さまの様な大男。
 しかも、あちこちの寺を回り歩いては問答を仕掛け、一度も負けた事はござらぬという顔です。
(こりゃあ、どえらい事になったわい。一体どうしたもんじゃろう。・・・そうじゃ。もち屋の六助(ろくすけ)がよい)
と、思いつき、ともかく旅の僧を本堂に案内して、
「和尚さまは、ただいま、お留守にございますが、近くにまいっておられますので、さっそく呼んでまいりましょう」
 言い終わると転げる様に、もち屋の六助の家へ行きました。
「六助どの。たった今、これこれ、しかじか。ぜひわしの身代わりになって、問答をやって下され」
と、両手を合わせて頼みました。

もち屋の禅問答


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