なぞかけの焼きいも屋
2023-08-19 来源:百合文库
むかしむかし、ある町に、屋台の焼きいも屋が現れました。
「えー、八里半の焼きいも~ 焼きたての、八里半の焼きいもだよ~」
焼きいも好きな男がこれを聞いて、焼きいも屋に声をかけました。
「おーい、焼きいも売り。八里半の焼きいもとやらを、もらおうじゃないか」
「へい、ありがとうございます」
「しかし、八里半の焼きいもとは、何のことだ?」
「へい。この焼きいもの味が、クリ(九里→くり)に近いという、なぞかけでごぜえますだ」
「なるほど。九里から少し引いて、八里半か。うまい事を言うな。よし、一本たのむよ」
「へい。まいどあり」
男が八里半の焼きいもを割ってみると、確かにクリの様に黄色くておいしそうです。
けれども食べてみると、クリほどはおいしくありませんでした。
「確かに、うまいはうまいが、クリにはおよばねえな。名前通りだ」
男が歩いて行くと、別の焼きいも屋がありました。
「えー、九里半の焼きいもはいかがですか~ 焼きたての九里半の焼きいも~」
「おーい、焼きいも屋。九里半の焼きいもとやらを、もらおうじゃないか。ところで、九里半とは何のことだ?」
「へい、クリより、半里もうまいという、なぞかけですだ」