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徳政じゃ(3)

2023-08-02日语睡前故事20210405 来源:百合文库
と、おごそかな声で言いました。
 さあ、今度は亭主の方がびっくりです。
「何だと! この宿は、むかしからわしらの持ち物。今さら人手に渡す事はならぬ。ならぬわい!」
と、まっ赤になって怒鳴ったのです。
「いやいや。ご亭主。あなたさまが先ほど言われた通り、おふれはおふれ。この家はお借りもうした、わたくしどもの物です」
「そ、そんな無茶な」
 宿の亭主は怒って、奉行所(ぶぎょうしょ→今でいう裁判所)に訴え出ました。
 すると、お奉行(ぶぎょう→裁判官)は真面目くさった顔で、宿の亭主に、
「お前の言い分は通らぬぞ。借りた物は、借り主にくださるが徳政。お前は、妻子、召使い一同を連れて、家から立ち退くがよい」
と、言い渡しました。
 宿屋を借りていたお客たちは、荷物こそは宿屋の亭主に取られましたが、宿屋を手に入れて幸せに暮らす事が出来ました。
おしまい


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