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節分の鬼(2)

2023-08-02日语睡前故事20210401 来源:百合文库

 お墓は、すっかり雪に埋まっています。

 おじいさんは、そのお墓の雪を手で払いのけると。

「さぶかったべえ。おらのこさえた甘酒だ。これ飲んで温まってけろ」
 おじいさんは甘酒を供えて、お墓の前で長い事、話しかけていました。
 帰る頃には、もう日も暮れていました。

 暗い夜道を歩くおじいさんの耳に、子どもたちの声が聞こえてきます。
「鬼は~、外! 福は~、内!」
「鬼は~、外! 福は~、内!」
 おじいさんは足を止めて、辺りを見回しました。
 どの家にも明かりがともって、楽しそうな声がします。
「ほう、今夜は節分(せつぶん)じゃったか」
 おじいさんは、息子が元気だった頃の節分を思い出しました。

 鬼の面をかぶったおじいさんに、息子が豆を投げつけます。
 息子に投げつけられた豆の痛さも、今では楽しい思い出です。
 おじいさんは家に帰ると、押し入れの中から古いつづらを出しました。

「おお、あったぞ」

節分の鬼


「むかし、息子とまいた節分の豆じゃあ。ああそれに、これは息子がわしに作ってくれた鬼の面じゃ」
 思い出の面をつけたじいさんは、ある事を思いつきました。

「おっかあも、可愛い息子も、もういねえ。ましてや、福の神なんざにゃ、とっくに見放されておる」
 こう思ったおじいさんは、鬼の面をかぶって豆をまき始めました。
「鬼は~内、福は~外。鬼は~内、福は~外」

 おじいさんは、わざとアベコベに叫んで豆をまきました。
「鬼は~内、福は~外」

 もう、まく豆がなくなって、ヘタヘタと座り込んでしまいました。
 その時、おじいさんの家に誰かがやって来ました。

「おばんでーす。おばんです」
「誰だ? おらの家に、何か用だか?」
 おじいさんは、戸を開けてビックリ。
「わあーーっ!」

 そこにいたのは、赤鬼と青鬼でした。
「いやー、どこさ行っても、『鬼は~外、鬼は~外』って、嫌われてばかりでのう。
 それなのに、お前の家では、『鬼は~内』って、呼んでくれたでな」

節分の鬼


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