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節分の鬼

2023-08-02日语睡前故事20210401 来源:百合文库

節分の鬼


むかしむかし、ある山里に、一人暮らしのおじいさんがいました。
 この山里では今年も豊作で、秋祭りでにぎわっていましたが、誰もおじいさんをさそってくれる者はおりません。

 おじいさんは祭りの踊りの輪にも入らず、遠くから見ているだけでした。
 おじいさんのおかみさんは病気で早くになくなって、一人息子も二年前に病気で死んでいました。

 おじいさんは毎日、おかみさんと息子の小さなお墓に、お参りする事だけが楽しみでした。
「かかや、息子や、早くお迎えに来てけろや。極楽(ごくらく→天国)さ、連れてってけろや」
 そう言って、いつまでもいつまでも、お墓の前で手を合わせているのでした。
 やがてこの山里にも冬が来て、おじいさんの小さな家は、すっぽりと深い雪に埋もれてしまいました。

 冬の間中、おじいさんはお墓参りにも出かけられず、じっと家の中に閉じこもっています。

 正月が来ても、もちを買うお金もありません。
 ただ冬が過ぎるのを、待っているだけでした。
 ある晴れた日、さみしさに耐えられなくなって、おじいさんは雪に埋まりながら、おかみさんと息子に会いに出かけました。

節分の鬼


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