【现在开始动真格】祝!!川原砾10周年纪念(2)
「こんな偶然もなかなか無いよね」
二人で顔を見合わせて笑い合う。
「……あー、でも話を戻すと、やっぱり俺はアスナも楽しめるクエストがいいな。せっかくのユイのおすすめだけど」
「わかりました! でしたら、音楽妖精族(プーカ)領の《失われた歌姫と海賊の王》クエストはどうでしょうか? こちらもレイドレベルの人数は必要ないとのことですよ!」
「おっ、なんか面白そうなネーミングだな。詳しく教えてくれ」
ああでもないこうでもないと、俺とユイは親子でわいわい議論する。
なかなか行き先は決まらない。しかし、こういう何気ない時間こそが、今の俺たちにとっては心地よかった。
《SAO》、《GGO》、そして《アンダーワールド》。
命懸けでフルダイブしてきたVRの世界は、ゲーマーとしての真価を問われているようで、どんな状況でも真剣そのものだった。
しかしそもそもは、そういった生死を懸けた戦いとは無縁の、《遊び》としてたしなむ今の《ALO》が本来のゲームプレイなのだ。
「クエスト途中で、《海賊の王》が主催する《歌唱コンテスト》があります。ここでNPCの審査員から一定以上の評価を得られないと、ボスに有効な武器が手に入らないようですね」
「ほうほう。うちのウンディーネさまなら楽勝だろう。優勝間違いなしだ」
「ちょ、ちょっと勝手に決めないでね」
――ゴ。
俺とユイのクエスト討論会の隣では、アスナが青いロングヘアの毛先をいじりながら、ゆったりとティータイムを楽しみはじめた。
――ゴゴ。
「ん?」
――ゴゴゴ。
「キリトくん?」
「どうしましたパパ?」
「アスナ、ユイ……なにか聞こえないか?」
――ゴゴゴゴ。
「な、なんだ、この音は……?」
「あ……私も感知しました。これは、地響きの《サウンドエフェクト》?」
――ゴゴゴゴゴ。
「――!!」
瞬間。
平和なひとときを堪能していたログハウスから、
俺たちは《強制転移》した。
* * * *
わけもわからず、突然の瞬間移動を強いられた俺たちが行き着いた先は、
「ここは……《はじまりの街》?」
数年前、大勢のプレイヤーが戸惑いと混乱をまき散らしていた、あの広場。
「! キリトくん、見て」
不慮の事態に驚いていたアスナが、上空を指さす。
「空が、夕暮れに変わってる……」
そう、この広場とこの景色は、あのときと同じだった。