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【生肉/八月的灰姑娘棒球队官网小说】 第一话 有原翼 最后的比赛(3)

 入部して三ヶ月たった頃。はじめてコーチが公式戦に抜擢した一年生は彼自身と翼だけだった。それ以来、二人は三年になった今でも、二人でチームを引っ張っている。
 マネージャーじゃなくて、選手だよ。そう宣言した時に見せた屈託ない翼の笑顔を、彼は今でも覚えている。
「なんだかあっという間だな」
 思わず、ため息混じりにつぶいた。
 外周を終えた二人は一緒に、グラウンドのベンチに腰を下ろした。
 翼は誰も立っていない打席を見つめて、絶対勝とう、と答えた。それぞれが、特別な想いを持って最後の試合に挑むことは確かで、翼の「勝とう」にもそれが込められているに違いなかった。
「俺、負けないよ」
 膝の上で拳を強く握る。
「その意気だよ」
「……試合にも勝つし、有原にも負けない」
 翼は黙り込んだ。女子だからね、と言われるのが悔しくて誰よりもバットをたくさん振り続けた日のことや、マネージャーと間違えられてもめげなかった日のことが頭をよぎった。彼はちゃんと私をライバルだと認めてくれてたんだ。私も負けない、と言い返したかったけれど、それは明日の試合に勝ってから言おうと思った。
 翼はそっと生唾を飲み込んでから、顔を上げた。
「優勝したら、チーム代表スピーチとかするのかな? プロ野球のヒーローインタビューみたいに。ねえ、優勝したらなんていう?」
「えーなんだろう。有原はなんていう?」
「うーん、そうだなぁ。これからも野球続けていきます!」
「ありきたり!」
「いいでしょ、球場で叫びたいことなんてそれしかないから」
「俺も! 野球続けるぞー!」
 そしてベンチから立ち上がると、誰もいない球場に向かって叫んだ。
「続けるぞー!」
 おどけた調子で翼が続いた。二人の声は、踏み固められたグラウンドの土に吸い込まれて、消えた。

 俺、負けないよ。
 そう囁いた主将は、予言どおりホームランを放った。
 七回裏。ホームベースをしっかり踏みしめて、膝を落として体全体でガッツポーズを決めた。手にした勝利を放しはしない、とでもいうかのように両手の拳を強く握る。
 涙目で喜ぶ翼とハイタッチしようとするも、押し寄せた仲間たちのせいでもみくちゃになる。有原、と翼の名を呼んだ。翼はにっこりとこちらに向かって親指を立てた。
 試合終了のサイレンが鳴り、決勝戦は翼たちの勝利で幕を閉じた。
 閉会式を終えると、チームメイトはそれぞれ友達や家族のもとへ散っていく。
 翼は主将の姿を探す。ともっちに勝利の報告をしに行く前に、一言宣言したいことがあった。
「コーチ、ホームランのお祝いが言いたいんですけど……」
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