第23话 最后冲刺(11)
(あれ……? でも今俺……)
ふと気付く。
あの頃と同じように自分の身が擦り切れるような忙しさで、限界以上に己を酷使しているのに――
俺の口元は、さっきから緩みっぱなしだった。
「あははは……っ! 忙しいです! 頭がこんがらがりそうです!」
すぐ隣で、紫条院さんが紙コップに手早くジュースを注ぎながら言う。
シフト開始から動きまくってすでに汗びっしょりだ。
「なのに変です! こんなに忙しいのに……すっごく楽しいです……っ!」
激務の中、この疲労と高揚が快いと紫条院さんは心から笑う。
額に珠になって連なる汗が、宝石のように眩い。
「新浜君はどうですか! 今この時は……楽しいですかっ!?」
あくまで手元は休めずに、紫条院さんがまっすぐに問いかけてくる。
そしてその答えは――考えるより先に口から出た。
「ああ……! メチャクチャ忙しいけど……メチャクチャ楽しいなっ!」
脳と身体が軋むようなキャパシティオーバー。
なのにあの頃の仕事の機械と化していた時の冷たく暗澹とした気持ちとは正反対に、燃えるような高揚感と喜びがある。
俺は今、みんなと頑張れるこの時を心底楽しんでいた。
「ああ、良かった……! 新浜君がそう答えてくれて嬉しいですっ!」
俺が『楽しい』と答えたことに、紫条院さんは心から喜びの笑顔を浮かべた。
そうして、修羅場は続く。
俺たち4人もはや戦友と呼んでも差し支えない連帯感で繋がり、押し寄せる大勢の客の対処に奔走し――
祭りの終焉を、ただひたすらに駆け抜けた。
ふと気付く。
あの頃と同じように自分の身が擦り切れるような忙しさで、限界以上に己を酷使しているのに――
俺の口元は、さっきから緩みっぱなしだった。
「あははは……っ! 忙しいです! 頭がこんがらがりそうです!」
すぐ隣で、紫条院さんが紙コップに手早くジュースを注ぎながら言う。
シフト開始から動きまくってすでに汗びっしょりだ。
「なのに変です! こんなに忙しいのに……すっごく楽しいです……っ!」
激務の中、この疲労と高揚が快いと紫条院さんは心から笑う。
額に珠になって連なる汗が、宝石のように眩い。
「新浜君はどうですか! 今この時は……楽しいですかっ!?」
あくまで手元は休めずに、紫条院さんがまっすぐに問いかけてくる。
そしてその答えは――考えるより先に口から出た。
「ああ……! メチャクチャ忙しいけど……メチャクチャ楽しいなっ!」
脳と身体が軋むようなキャパシティオーバー。
なのにあの頃の仕事の機械と化していた時の冷たく暗澹とした気持ちとは正反対に、燃えるような高揚感と喜びがある。
俺は今、みんなと頑張れるこの時を心底楽しんでいた。
「ああ、良かった……! 新浜君がそう答えてくれて嬉しいですっ!」
俺が『楽しい』と答えたことに、紫条院さんは心から喜びの笑顔を浮かべた。
そうして、修羅場は続く。
俺たち4人もはや戦友と呼んでも差し支えない連帯感で繋がり、押し寄せる大勢の客の対処に奔走し――
祭りの終焉を、ただひたすらに駆け抜けた。