YOASOBI-海のまにまに的原著小说《ユーレイ》第二部分(5)
2024-04-11 来源:百合文库
「……そっちこそ、こんな時間に何してるの」
駅を出る時、最後に見た時計は夜の九時を回っていた。
自分の行動を見咎(みとが)められた気がして尋ね返すと、彼女が静かに首を動かした。
「あ、私はね」と語(かた)り始める。
「お母さんとケンカして、その後の証拠隠滅(しょうこいんめつ)のために」
「え?」
「私さ、部屋がすっごい汚くて、それでお母さんに今日、キレられちゃって。
全部片付けが終わるまで今夜はもう寝るなって言われて。
ひとりでちまちま片付けてたんだけど、そしたらさ、これが出てきちゃって」
彼女が背後(はいご)から何かを取り出す。
さっき最初に声をかけられた時には気づかなかったけれど、彼女はその手に平べったい大きな袋を持っていた。
表面に大きく「はなびセット」という文字が描かれている。
「おととしくらいに買ったんだけど、やるの忘れてて。
だいぶ前のやつとはいえ火薬使ってるから、このまま捨てたらまずいよな?って。
見つかったら、親はさらに激怒だろうし、これはもう、やって処分するしかないなって。
で、家、抜け出してきた」
「へえ……」
どう返答(へんとう)していいかわからなくて、なんとなく、彼女から距離を取る。
駅を出る時、最後に見た時計は夜の九時を回っていた。
自分の行動を見咎(みとが)められた気がして尋ね返すと、彼女が静かに首を動かした。
「あ、私はね」と語(かた)り始める。
「お母さんとケンカして、その後の証拠隠滅(しょうこいんめつ)のために」
「え?」
「私さ、部屋がすっごい汚くて、それでお母さんに今日、キレられちゃって。
全部片付けが終わるまで今夜はもう寝るなって言われて。
ひとりでちまちま片付けてたんだけど、そしたらさ、これが出てきちゃって」
彼女が背後(はいご)から何かを取り出す。
さっき最初に声をかけられた時には気づかなかったけれど、彼女はその手に平べったい大きな袋を持っていた。
表面に大きく「はなびセット」という文字が描かれている。
「おととしくらいに買ったんだけど、やるの忘れてて。
だいぶ前のやつとはいえ火薬使ってるから、このまま捨てたらまずいよな?って。
見つかったら、親はさらに激怒だろうし、これはもう、やって処分するしかないなって。
で、家、抜け出してきた」
「へえ……」
どう返答(へんとう)していいかわからなくて、なんとなく、彼女から距離を取る。