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第17话 能者多劳(6)

風見原の紹介に、クラス全体からパラパラとした拍手が発生する。
唯一紫条院さんだけは満面の笑顔でパチパチパチパチパチ!と喝采レベルの拍手をしてくれているが、嬉しい反面ちょっと恥ずかしい……。
風見原から頼まれた事……それは発案者として実行委員を補助することだった。
決して喜んで請けたわけじゃないが――
『私の司会としての能力がクソ雑魚なせいで新浜君にあそこまでさせてしまった不徳は恥じますけど、それはそれとして、ここまで計画を練って資料まで用意した張本人が中心にいないとかダメでしょう?』とまで言われては反論する術はなかった。
まあ、確かにプロジェクトの発案者が準備に携わらないなんて、開発チームがいなくなった後の続編ゲームくらいにダメだろう。
(どっちみち最後まで責任はとるつもりだったしな。それに高校の文化祭なんてよく覚えてないけどそんなに大変なこともないだろう)

第17话  能者多劳


時間はやや押しているが、そのためにあまり準備時間が要らない出し物にしたのだ。
 せいぜい俺の仕事なんてあらかじめ話をつけておいたレンタル衣装屋とのやりとりや、後はタコ焼きのレクチャーくらいだろう。
そしてまあ――そんな俺の思考こそがフラグだったのだ。
文化祭のための作業時間中に、風見原は淡々と報告を持ってきた。
「予算がヤバいです」
「何でだよっ!?」
俺は思わずツッコミを入れた。
俺がプレゼン前にどれだけ予算の計算をしたと思ってる!?
 衣装レンタル代という大出費も低価格に抑えて、ある程度余裕を持たせたはずだぞ!
「教室のデコレーションに資材を買いたいという要求が女子からけっこう出てます。あとは味のバリエーションを増やしたいから試作の材料を買いたいという要求、ジュースカクテル作りたいから種類増やしたいという要求……その他にまだありますが、とても全部に回す予算はありません。財政危機です」

第17话  能者多劳


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