第17话 能者多劳(5)
第17話 能力を示してしまった者は仕事を積まれる
文化祭出し物の詳細打ち合わせの合間、メガネが似合うセミロングの女子――文化祭実行委員の風見原美月は唐突に俺に話しかけてきた。
「会議の件、収拾がつかなくなっていたのでマジ助かりました。冷静に思い返してみると私って『話し合ってー!』と叫んでるだけで全然進行できてなかったですね……」
どうやらお礼と反省を述べにきたようだが、妙にクール顔でどれだけ感情がこもっているのかわかり難い。
「ああ、悪いけど……うん……」
否定してあげたいところだが、流石にあのグダグダぶりは擁護できない。
正直、あの状況の元凶説まである。
「めっちゃ実感しましたけど、決を取る機能がない会議ってただの泥沼ですね。永遠に何も決まらない感が凄かったです」
「お前が他人事みたいに言うなよ!?」
あんまり話したことなかったけど、結構マイペースだなお前!?
「ええ、反省していますし感謝しています。新浜君がいきなり壇上に上がって大声で叫びだした時は頭が壊れたのかと思いましたが……かなり救世主でした」
やめろ、真顔で拝むな。
というか今の淡々とした口調と違って会議中は結構声に感情がこもっていたけど、あれってお前なりに酷い状況に焦っていたのか……?
「さて……それでは前置きも済んだところで本題です」
「え……?」
(あ……このパターンは……!)
かつて俺が何度も経験したことだった。
自分はダメだという宣言と、相手の持ち上げ。
ここから出てくる言葉はいつも決まっているのだ。
「ちょっとお願いがあるのですが……」
あああああああ、やっぱりいいいいいいい!
「では正式に実行委員のアドバイザーとして就任してもらった新浜君です! みんな拍手で承認をお願いします!」
文化祭出し物の詳細打ち合わせの合間、メガネが似合うセミロングの女子――文化祭実行委員の風見原美月は唐突に俺に話しかけてきた。
「会議の件、収拾がつかなくなっていたのでマジ助かりました。冷静に思い返してみると私って『話し合ってー!』と叫んでるだけで全然進行できてなかったですね……」
どうやらお礼と反省を述べにきたようだが、妙にクール顔でどれだけ感情がこもっているのかわかり難い。
「ああ、悪いけど……うん……」
否定してあげたいところだが、流石にあのグダグダぶりは擁護できない。
正直、あの状況の元凶説まである。
「めっちゃ実感しましたけど、決を取る機能がない会議ってただの泥沼ですね。永遠に何も決まらない感が凄かったです」
「お前が他人事みたいに言うなよ!?」
あんまり話したことなかったけど、結構マイペースだなお前!?
「ええ、反省していますし感謝しています。新浜君がいきなり壇上に上がって大声で叫びだした時は頭が壊れたのかと思いましたが……かなり救世主でした」
やめろ、真顔で拝むな。
というか今の淡々とした口調と違って会議中は結構声に感情がこもっていたけど、あれってお前なりに酷い状況に焦っていたのか……?
「さて……それでは前置きも済んだところで本題です」
「え……?」
(あ……このパターンは……!)
かつて俺が何度も経験したことだった。
自分はダメだという宣言と、相手の持ち上げ。
ここから出てくる言葉はいつも決まっているのだ。
「ちょっとお願いがあるのですが……」
あああああああ、やっぱりいいいいいいい!
「では正式に実行委員のアドバイザーとして就任してもらった新浜君です! みんな拍手で承認をお願いします!」