第20话 在人工的星空下(10)
けど、たまに不安になる。
俺がもう一度進む未来は……本当に変えることができるんだろうか?
「……そんな顔をしないでください」
気付けば、紫条院さんの顔が俺の瞳を覗き込むように近づいていた。
「手を伸ばせば未来は変わることを、実際に見せてくれたのは新浜君じゃないですか」
「え……?」
「私たちのクラスの出し物は……あの迷走していた会議のままだときっと良いものにならないで、クラスのみんなも今みたいに頑張ろうって気持ちはなかったと思います。けど……そんな流れを新浜君が変えてくれました」
息がかかってしまいそうな距離で、紫条院さんは続けた。
「私は、本当に感動したんです。流れがどうなるのかをただ見ているだけじゃなくて、新浜君は無理矢理にでも流れを変えることに挑戦して成功させた。大げさかもしれませんけど……頑張って未来を変える実例を見せてくれたんです」
「俺が、未来を変えた……」
「そうです! そんな未来を変えるほどのパワーがあるのが新浜君なんです! だから……何を不安に思っているのかわかりませんけど元気出してください! 私でよければいつだって力になりますから!」
「紫条院さん……」
不思議だった。
さっきまで抱いていた一抹の不安が溶けるように消えていく。
ただ一人の少女から言葉を受け取っただけで。
「それに……未来が変わったのはウチのクラスの出し物だけじゃないのも忘れないでくださいね」
「え……?」
「私は今、とっても楽しいです。けど自分のクラスが団結も熱意もない状態だったら、私はこんなに浮き立つ気持ちで文化祭を迎えていませんでした。だから……改めてお礼を言わせてください」
お互いの視線がごく近くで絡み合う中、紫条院さんはそっと言葉を紡ぐ。