第一話 彼女との出会い
-5月某日-
「ねぇ……陰キャオタク君……君は君自身を試しに変えてみる?」
「変えるって何を……?」
「んー……秘密!! 詳しくはボクと仲良くなってから話すよ……」
と少女は訳分からない言葉を言い残して、俺がぼっーとしていた隙に消えてしまった。
「忍者かよ……ったく……よく分からねぇ奴だな……」
流派が甲賀か、いや、伊賀の可能性もあるな。
とにかく、隠密性能に全振りしているのは間違いないだろう。
俺は地面に顔を向けながら誰に話している訳でも無く言葉を言い放った。
そう、彼女は背丈は小さいが学年首位の成績を持ち、男女問わずみんなに好かれ、クラス内では圧倒的な信頼感をもつ存在だ。
入学してまだ1ヶ月しか経っていないのにも関わらず彼女はすぐに周りと打ち解けている。俺とは全く持って正反対だ……
あくまで、彼女の情報は小耳に挟んだ内容だが、確かそうだったはず……