第8话 我的老哥不可能这么帅(13)
「ああ、可愛いだろ。それが紫条院さんだ」
「何で兄貴が誇らしげなの……。けどこんなにキレーな人だと告白祭りなんじゃない? マジで彼氏いないの?」
「ああ、それが学校中の男子に人気すぎて、誰かが告白しようとすると周囲から妨害されるらしい。そして本人が天然すぎて自分に向けられている熱視線に全く気付いていない」
「えぇ……何それ……コクりたい人からコクればいいじゃん。そんな暗黙の協定作って勇気出した人を妨害するなんてクソキモい」
「辛辣だなオイ。まあ、確かにアホな暗黙協定だけど、皆がそれを守っているというより一度できたそういう抜け駆け禁止の雰囲気を誰も壊せなくなってしまったという方が正しいかな」
「でも……それじゃ兄貴も告白しようとしたら周囲の腰抜け男たちから邪魔されるってことじゃん」
「そのとおりだ。けど、そんなの関係ない」
紫条院さんに告白するには本人の好感度を稼いで「勝負時」を見定めるほかにも周囲のライバルたちの邪魔もあるだろう。
しかし、そんなことにビビるような繊細な俺はもういない。
この胸に宿る狂おしいほどの『後悔』がある限り俺のメンタルは無敵だ。
「誰が邪魔してこようがそれを全部吹っ飛ばして告白する。もう俺は空からヒロインが降ってくるのをじっと待ってた俺じゃない……ただ勝ちに行くだけだ」
俺のようなオタク男子は夢想した。
空から、異世界から、通学路の曲がり角から美少女と突然出会うイベントが起きてこの冴えない日常を変えてくれることを。
しかし30年待ってても紫条院さんはおろか、イベントで遭遇する女の子など一人もいなかったのである。
「何で兄貴が誇らしげなの……。けどこんなにキレーな人だと告白祭りなんじゃない? マジで彼氏いないの?」
「ああ、それが学校中の男子に人気すぎて、誰かが告白しようとすると周囲から妨害されるらしい。そして本人が天然すぎて自分に向けられている熱視線に全く気付いていない」
「えぇ……何それ……コクりたい人からコクればいいじゃん。そんな暗黙の協定作って勇気出した人を妨害するなんてクソキモい」
「辛辣だなオイ。まあ、確かにアホな暗黙協定だけど、皆がそれを守っているというより一度できたそういう抜け駆け禁止の雰囲気を誰も壊せなくなってしまったという方が正しいかな」
「でも……それじゃ兄貴も告白しようとしたら周囲の腰抜け男たちから邪魔されるってことじゃん」
「そのとおりだ。けど、そんなの関係ない」
紫条院さんに告白するには本人の好感度を稼いで「勝負時」を見定めるほかにも周囲のライバルたちの邪魔もあるだろう。
しかし、そんなことにビビるような繊細な俺はもういない。
この胸に宿る狂おしいほどの『後悔』がある限り俺のメンタルは無敵だ。
「誰が邪魔してこようがそれを全部吹っ飛ばして告白する。もう俺は空からヒロインが降ってくるのをじっと待ってた俺じゃない……ただ勝ちに行くだけだ」
俺のようなオタク男子は夢想した。
空から、異世界から、通学路の曲がり角から美少女と突然出会うイベントが起きてこの冴えない日常を変えてくれることを。
しかし30年待ってても紫条院さんはおろか、イベントで遭遇する女の子など一人もいなかったのである。