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第6话 向着第一次的一起放学event(7)

「大したことはしてないよ。校舎には人が殆どいないはずなのに女子の大声が聞こえたから来てみたんだけど……上手く収まって良かった」
紫条院さんの顔色は悪い。
 そりゃそうだ。あんな理屈もなにもない奴らに絡まれれば気分は最悪だろう。
「ご迷惑をおかけしてすいません……でも本当に助かりました……」
「……紫条院さん、迎えの車とか来る予定なの?」
「え? いえ、父はしきりに送迎の車を勧めているんですけど、私は皆と同じように登下校したかったので、いつも普通に歩いています」
「そっか。なら、ええと、その……完全に日が落ちたし、い、家まで送るよ」
なんでもないふうを装ってはいたが、この時俺は汗がダラダラ流れるほどに緊張していた。
今の俺は社畜時代を経ているおかげで高校生の時とは比べものにならないほどに強いメンタルを持っている。

第6话  向着第一次的一起放学event


だが童貞なので女子と……しかも憧れの紫条院さんに「送るよ」などと漫画かドラマの主人公みたいな台詞を言うのは精神力と勇気をふり絞る必要があった。
けれど、そうしたいと思った。
極めて顔色が悪い紫条院さんを夜の街に一人で歩かせて帰すのは、彼女に惚れている男としてどうしても許容し難い話だったのだ。
「えっ、いいんですか? ご迷惑じゃなければとっても嬉しいです!」
ドン引きされたら……という恐怖は、紫条院さんが笑顔で払ってくれた。
しかし昨日まで陰キャだった男子が送るとか言い出してもこの笑顔……まじでこの子は天使か何かか? ちょっと天然すぎて将来が心配になる……。
ともあれ――こうして俺と紫条院さんの下校イベントは開始した。
「『ブレイダーズ!』は本当に最高の最高ですっ! 第一部のラストに世界を引き換えにしてもあいつを守りたい! って決心してダークスレイブを唱えるところとかもうボロボロ泣いてしまいました……!」

第6话  向着第一次的一起放学event


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