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第4话 你知道3000円的重量吗(8)

「というか何かお前……全体的にいつもと違わないか? 声はえらいハキハキだし全身のオドオドオーラが消えてるし……ひょっとして異世界転生して長く苦しい旅の果てに昨日地球に帰ってきたとか?」
 惜しい、異世界転生じゃなくて過去逆行だ。
「ああ、大当たりだ銀次。実は昨日まで違う世界にいてな。酷い奴隷労働組織に捕まって人格否定級の罵声を浴びながら早朝から深夜まで働かされて周囲の仲間の精神がおかしくなっていく環境で12年耐えてきたんだ」
「はは、そりゃひでーな! ダーク系異世界かよ!」
 残念ながらブラック系の現実だ。
 まだピュアなお前には笑い話だろうが、これは決してファンタジーじゃなくて今この時代にも存在する悪魔の深淵なんだ銀次。
 ああけど……こうやってこいつと馬鹿話するのは久しぶりだ。
 俺は今あの頃に戻っているという実感が強くなる。
「まあ紫条院さんは優しくて天然だから俺らみたいな奴にも気さくだけど、あんまり目立つように話すなよ。ヤンキー系の奴もリア充系の奴もあの子を狙ってんだからお前シメられちまうぞ」

第4话  你知道3000円的重量吗


 へぇ、リア充って言葉この時代にもう存在したのか。
「スクールカーストに気をつけろよ。俺らみたいなオタク系は学校内の地位が最低だからな。ちょっと目立つと“上”の奴らが黙ってない」
(スクールカースト……あったなあそんな概念も)
 今思えばたかだかガキの集団がマウントを取り合うなんてなんとも滑稽な不文律だったなあという感想を抱く。
 いやまあ、大人になってもどこの大学を出ただの年収いくらだのでマウントの取り合いが消えるわけじゃないんだが。
「ま、気をつけるよ。忠告ありがとな銀次」
 とは言え……誰に目をつけられようが俺は二度目の青春を自重する気はない。
 周囲の目を気にし続けて、誰かからの攻撃に怯え続けて何もしなかった結果が告白もできなかった高校時代であり、奴隷であることを辞められなかった社畜時代なのだ。
 俺は俺の願うままに動く。
 今度こそ後悔しないために。

第4话  你知道3000円的重量吗


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