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《侦探已死6》-【ある少年の語】(8)

「そういえばシャル、 もうすぐ誕生日だよな。欲しいものあるか?」
「プレゼントで懐柔しようとしてきた!?……その前になんでキミヅ力がワタシの誕生日を知ってるのよ」
深い意味はない。 ただ、やたらと記念日にこだわる探偵が相棒だったからな。
「キ、キミヅ力がワタシの誕生日を知ってくれてるだなんて……って、なんでちょっと喜んでるのよ、ワタシ……そんな、バカなこと……」
「ユイ! 勝手に意味不明なアテレコしないで!」
シャルが斎川の髪の毛を両手でわしやわしやといじると、 斎川は 「すみません~」と謝りながらもはしゃいだ笑顔を零す。
平和な光景を目にしながら取る食事は、二割増しで味が良くなる気がした。
「あたし、プレゼント貰ってないんですけど?」
するとそんな二人をよそに、隣の夏凪がなにか言いたげに視線を寄越してきた。
確か、 彼女の誕生日は——六月七日 
それは俺と夏凪が放課後の教室で出会い、彼女の心臓にまつわる相談を受けた日の直前だった。

《侦探已死6》-【ある少年の語】


「プレゼントは、また来年だな」
「つまり来年も一緒にいるってこと?」
と、今度はなぜか嬉しそうにしながら、夏凪は短くなった髪の毛を耳に、かけらる。
——来年。順調に行けば高校も卒業しているはずの俺たちは、その頃どんな暮らしをしているのだろうか。俺たち全員の願いは、果たして叶っているのだろうか。
「わたしは十二月なのでまだまだ間に合いますね!」
俺たちの話を聞いていたのか、次に斎川が誕生日プレゼントを求めてきた。
「今さら斎川に欲しいものなんてあるのか?」
彼女のあの豪邸を見れば、すでに欲しいものはすべて手にしているように思、んるか。
「物理的なものはそうかもですが、代わりに、その、やりたいことはありまして……」
すると斎川は珍しく言い淀み、やがて上目遣いで俺たちをちらちらと見ながら。 
「みんなで、誕生日パーティがしたいです」
そんな、今までの斎川にとっては当たり前ではなかった願いを恐る恐る口にした。

《侦探已死6》-【ある少年の語】


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