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《侦探已死6》-【ある少年の語】(6)

俺たちがこの国を訪れた目的——すなわち《連邦政府》高官とのとある会議は、今日の午後六時の開催が予定されている。
議題は、夏凪渚の《調律者》就任に関して。 彼女が新たな《名探偵》になることが妥当か否か、改めてその判断が下されるらしい。
「タフな話し合いになるかもしれないからな 今のうちにエネルギーを蓄えとこう」
俺は自分にもそう言い聞かせ、大きなチキンにフォークを突き刺す。
「名探偵、か」
ふと夏凪が、恐らくはその言葉に込められた多くの意味を咀嚼しながら、視線を遠く外に向けた。新たに《名探偵》になる者がいるということは、その役職を降りる者もまたいるということだ。
その人物の名は——シェスタ。
遡ること約一ヶ月前。俺たちは、心臓を取り戻した《名探偵》と共に、世界の敵である《原初の種》と最後の戦いを繰り広げた。 そして最終的には、敵であったはずのヘルの献身によってシードを大樹に封印するに至り、長かったこの物語は幕を閉じる——はずだった。

《侦探已死6》-【ある少年の語】


ところが、その後戦いを終えたシェスタはある事情により眠りに就かなければならなくなり、今も目を覚ますことなく日本の地で昼寝を続けている。俺たちはそんな彼女の眠りを覚ます方法をいっか見つけるまで、物語の幕を降ろさないことに決めたのだった。
「これからだよね。あたしたち」
隣に座る夏凪が、気合いを入れ直すようにばちんと自分の両頬を叩た。
確かに、失われたものはある。 変わったものはある。
しかしそれでも、消えすに受け継がれたものもそこにはあった。
「君塚? どうかした?」
夏凪か不思議そうに首をかしげる。
風が吹き、柔らかく揺れる彼女の髪の毛は——ショートカット。
今はもういない、だけど確かに彼女の中にいたもう一人の顔が、ふと見えた気がした。
「いや、美人はどんな髪型も似合うと思ってな」
「……君塚ってそゅこと平気で言ってくるタイプだっけ」
すると隣からなにやら、しよばしよばとした声が漏れてくる。

《侦探已死6》-【ある少年の語】


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